上のタイトルを見て「コケのことを学術的に蘚苔類と言うんじゃないの?」と思われるでしょうが・・・
上はメタセコイアの幹に着生している植物を撮ったもので、写真中央の葉の先が茶色くなっているコケの群落はタチヒダゴケですが、今回はその手前 (=写真の右) の赤い二重丸に注目してみました。 下はその拡大です。
葉と茎の区別が無いようですので、蘚苔類ではないだろうと思いましたが、念のため顕微鏡で観察してみたのが下です。
これは糸状緑藻でしょう。 糸状緑藻といえばアオミドロなどのように水中で生活しているものを頭に描きがちですが、このような所にも見られるんですね。
この場所は、1枚目のタチヒダゴケの葉が密着しているうえに葉先が褐色になっているように、決して湿った環境ではありません。 しかしこの糸状緑藻に水を一滴垂らして顕微鏡で観察すると、上のように乾燥で傷んだ様子は全く見られません。
一般に蘚苔類は乾燥に対する耐性が強く、また水があれば体全体から水を取り込み、短時間のうちに活発な生命活動を再開します。 上の糸状藻類もこのような生活をしているのではないでしょうか。
ところで、コケの語源は木毛(こけ)だと言われています。 木の幹などに見られる毛のような小さな植物(ここでは地衣類も植物に含めています)が木毛ですから、この糸状藻類はまさしくコケですね。
(2016.11.19. 鶴見緑地)