上のこんもりとした形は「まんじゅう苔」ともよばれるホソバオキナゴケかアラハシラガゴケでしょう。
湿ると緑が濃くなり乾くと白っぽくなるのはホソバオキナゴケもアラハシラガゴケも同じ。 両者を並べてみると、後者の方が少し葉が細く、葉先が曲がる傾向にあるのですが、その差はわずかで、(私を含めて)見慣れない人には、顕微鏡を用いないとなかなか自信をもって両者の区別ができません。
下に書くようにいろいろ調べた結果は、写真のコケはアラハシラガゴケ Leucobryum bowringii でした。
上は葉の基部付近の横断面です。 基部付近は葉が重なり合っていて白っぽく、ほとんど葉緑体はありませんが、中央に1列に並んでいる小さな菱形の細胞が葉緑体を持つ細胞で、その上下に透明細胞があります。
平凡社の図鑑の記載では、葉の基部の横断面で、透明細胞は、ホソバオキナゴケではもっとも厚いところでは5-8層、中央部は2細胞層であるのに対し、アラハシラガゴケでは2-4層となっています。
下はこの断面をさらに拡大し、偏光で細胞壁を光らせたものです。
上は、写真の上方が腹面(茎に面している側)で、写真の下方が背面ですが、背面の外壁が(腹面の外壁より)厚くなっています。 ホソバオキナゴケでは背面の外壁も薄壁で、腹面の外壁と厚さはほぼ同じです。
上は茎の断面で、中心束が明瞭に分化しています。 ホソバオキナゴケの茎では中心束の分化は見られません。
(2018.12.19. 滋賀県大津市 石山寺)
ホソバオキナゴケの茎の断面はこれまで載せていませんでしたので、比較のため、下に載せておきます。 写真の左端は茎についている葉の組織です。
(参考)ホソバオキナゴケの茎の断面 |
◎こちらではアラハシラガゴケとホソバオキナゴケの違いを表にしています。
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