写真はヒトデゼニゴケ(別名テガタゼニゴケ) Marchantia pinnata でしょう。 岩に張り付いていました。 生育環境があまり良くないのか、枯れた部分も多く、雌器托や雄器托も無性芽器もみつからなかったのですが、葉状体の背面中央に黒色の縞があることや、下に書いた特徴的な腹鱗片の付属物の様子から、まず間違いは無いでしょう。 大きさなどが分かるよう、右上隅に少しオオジャゴケを入れて撮りました。 分布は平凡社の図鑑では本州(千葉・山口県)以南となっています。
ちなみに、和名の「ヒトデ」や「テガタ」は、雌器床の指状突起が1方向に偏って広がり、指をすぼめた人手状となる(平凡社の図鑑)からのようですが、雄器床の深く切れ込んだ指状突起も片方に寄り、指を広げた人手状にみえるようです。 なお、この雄器床の指状突起は、トサノゼニゴケの場合同様、葉状体として再成長することもあるとのことです。
葉状体を拡大して撮ってみました(上の写真)。 細長い気室の中央に気室孔があります。 先端の凹んだ所には腹面にある腹鱗片が巻き込んできていて、腹鱗片の付属物が見えています。
上は葉状体の先端部を腹面から撮っています。 紫色の腹鱗片が4列(以上)に並び、腹鱗片の付属物が鹿の角のように目立っています。
この付属物のついた腹鱗片を外して顕微鏡で撮影したのが下の2枚の写真です。
上の写真の様子を、平凡社の図鑑では、「腹鱗片の付属物の縁に裂片状の長毛がある。」と表現しています。
上は葉状体の中央部の断面です。 葉状体の中央部は、中肋部とまでは言えないでしょうが、細胞層が厚くなり、他より少し小さな細胞が集まっています。
上は気室孔の断面です。 気室孔は樽型で、その中心部は円形に大きく開いています。
(2021.2.28. 宮崎県都城市 関之尾滝)
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