写真はアナナシツノゴケ Megaceros flagellaris です。 いつも湿っているような土の上で育っていました。
上はツノつまり蒴の表皮の細胞です。 ニワツノゴケやナガサキツノゴケなどの蒴の表皮には気孔がある(例えばこちら)のに対し、本種やキノボリツノゴケなどのそれには気孔がありません。 和名の「アナナシ」は気孔という「アナ」が無いことに由来します。
しかし最初の写真をよく見ると、葉状体の表面にはたくさんの孔があります。 下はこの部分を大きく撮った写真です。
上の写真の孔の中央を通るように葉状体の横断面を作ると・・・
孔の中にあるのは造精器のようです。 造精器はこのように葉状体の中に埋め込まれた形で存在します。 なお、最初の写真を見ると、造精器の孔と胞子体が接近してあるように見えますが、アナナシツノゴケは雌雄異株です。 最初の写真は雌株と雄株が混生している状態で、造精器の孔と胞子体は別の葉状体の上に見られます。
この機会に、葉状体全体の様子が分かる断面の写真も撮ってみました(下の写真)。
本種の葉状体内部にはナガサキツノゴケなどのような細胞間隙はありません。 しかし、下は上の赤い四角で囲った部分の拡大ですが・・・
孔があるように見えます。 しかしこれも、造精器が入っている孔の端か、これから造精器が入る孔になっていくのか、とにかく造精器に関係するつくりだと思っています。
(2021.3.1. 鹿児島県 大隅半島)
◎ こちらには本種の胞子や弾糸などを、こちらには共生しているラン藻や胞子体基部の様子などを載せています。
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