ナメリチョウチンゴケ Mnium lycopodioides は雌雄異株です。 雌株が蒴をつけていました(上の写真)。 蒴の蓋にはやや長い嘴があり、それを覆う僧帽型の帽は長く伸びています。
胞子体は頂生、葉は乾くと縮れますが、縮れ方は若い葉の方が大きいようです。(こちらでは本種の新しい葉と古い葉とを比較し、変水性や色の違いについて書いています。)
雌苞葉は線形です。
下部の葉は小さく、上方に比べて疎生の傾向があります。 上方の葉は卵形~卵状披針形で、長さは3~4mmです。
葉の最も幅が広い所は中部以下、葉縁には舷があり、上半部の縁には鋭い歯があります。 中肋は葉先に達しています。
舷は同じ幅を保って葉先にまで続いています。 上の写真でもよく見ると、歯は双歯であることが分かります。
葉身細胞は円形~丸みを帯びた方形~六角形で、厚角です。
上は蓋の取れた蒴です。 口環がきれいに分化しています。 蒴歯は2列で完全です。
近くには雄花盤をつけた雄株の群落もありました(上の写真)。
上は雄花盤の断面で、たくさんの造精器と側糸があります。 まだ未熟のようですが、次の胞子体誕生への準備が、もうここまで進んでいます。
造精器がここまでできているならと、雌株の胞子体をつけていない茎の先の断面も観察してみたところ、側糸は確認できましたが、造卵器を確認できる時期には至っていないようでした。
(受精が済んで若い胞子体が伸びたしてきている11月の様子をこちらに載せています。)
(2021.4.15. 兵庫県養父市 天滝渓谷)
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