茎の先がひも状になったオカムラケビラゴケ Radula okamurana を1月22日のこのブログに載せましたが(こちら)、Facebookにも上の写真を載せました。 そして、コメントでこのひも状の茎は先端に少し大きな葉をつけ、その葉に無性芽をつけるのではないかと書いたところ、いろいろなレスポンスをいただきました。 そこで、もう少し詳しく、このひも状の茎について観察することにしました。
通常の葉をつけている茎からひも状になっている茎への移行部を見ると、背片と腹片がそろって小さくなったと思われる葉が見られます(上の写真)。 また、ひも状になった茎についている鱗片状の葉も、よく見ると浅く2裂していて、背片と腹片に分かれていた“名残り”を感じます。 そして茎の先端に近づくにしたがって腹片が次第に大きくなり、茎の先端近くになって急に鱗片葉より大きな葉をつけているように見えます。
山田(1994)は、このひも状の茎は葉上片(本稿では「背片」としています)が脱落したもので、よく似たヒメケビラゴケと識別する良い特徴の一つとしていますが(下記参考文献)、今回の観察では、上記のように背片の脱落は認められませんでした。
上は腹面からひも状の茎の先端部を撮っています。 ルーペレベルの観察では茎先端の葉は2枚と思っていたのですが、上の写真のように何枚もの葉が密着して重なりあっています。(上記山田(1994)には1枚と3枚の図が載せられています。) また、この葉は腹側から背側へと次第に大きくなっているようです。
そして・・・
ひも状になった茎を何本も観察しているうち、上の写真のような状態の茎をみつけました。 この茎の写真を撮っていると、立ち上がったようになっている葉がぽろっと外れました。 下がその葉です。
以上の観察結果から、オカムラケビラゴケは、最初に書いたようなひも状の茎の先端の小さな葉に無性芽をつけるのではなく、茎の先端で小さな丸い葉を発生させ、これを飛散させることで無性生殖を行っているのではないかと思います。 現地で育っている所を撮った写真をよく見ると、上記のように考えると納得できるような写真もありました(下の写真)。
下記参考文献を紹介いただき、観察のポイントを示していただいた秋山弘之先生に深く感謝いたします。
【参考文献】
山田 耕作:オカムラケビラゴケとヒメケビラゴケについて.日本蘚苔類学会会報6(4),1994.
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