写真はホソハリゴケ Claopodium gracillimum でしょう。 細かい砂質土壌の斜面で育っていました。
ところで、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更しています。 Claopodium(ハリゴケ属)も、下に書くように葉身細胞にパピラがあって、平凡社ではシノブゴケ科になっているのですが、その後、キヌイトゴケ科が妥当とされたり、形態的に類似点のあるノミハニワゴケなどのHaplocladium(コメバキヌゴケ属)と同じウスグロゴケ科が妥当とされたりしましたが、下記の井上・山口(2024)では、アオギヌゴケ科に分類されています。
井上侑哉・山口富美夫:日本産セン類の分類表. Hikobia19(2). 2024.
(詳しくはこちらに書いています。)
最初のような写真では大きさがよくわかりませんが、小形で、あまり目立たない種です。 上のスケールの数字の単位はmmです。
葉は卵形の基部からやや急に細くなり、葉先は細長く尖っています(上の写真)。 基部はほとんど下延せず、葉縁は反曲していません。
枝葉の中肋は葉先近くで終わっています(上の写真)。 なお、本種によく似たハリゴケの枝葉の中肋は葉先に達しています。 葉縁の細胞は葉身の細胞とほぼ同じです。
上は葉身細胞で、各細胞に1個のパピラがあります。
(2025.2.12. 兵庫県西宮市)
◎ こちらには蒴をつけたホソハリゴケを載せています。
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