2024-01-15

イワイトゴケモドキ

 

 樹幹に育っていた写真のコケ、イワイトゴケモドキ Haplohymenium sieboldii のようです。 イワイトゴケによく似ていますが、イワイトゴケの枝葉が円頭~広い鋭頭であるのに対し、本種の枝葉は上の写真のように鋭頭です。

 上は湿った状態で、下は乾いた状態です。 

 乾くと葉が枝に密着するのはイワイトゴケと同じです。 平凡社には「一般に茎はやや羽状に分枝し(以下、略)」とありますが、枝ぶりは環境によってよく変わり、違いは重視できないでしょう。

 上は枝葉です。 長さは 0.6~0.7mm、中央付近でやや急に細くなる傾向はありますが、イワイトゴケほどではなく、上に書いたように葉先は鋭頭、葉は縦に裂け目が入ることはあっても、イワイトゴケのように途中で折れやすい傾向は見られませんでした。

 上は葉身細胞です。 長さは8~12μm、各細胞には4~6個のパピラがあります。

(2024.1.13. 兵庫県宝塚市 武田尾)

2024-01-06

リュウキュウゴヘイゴケ

 

 石灰岩上で干乾びてほとんど真っ黒になっていた写真のコケ、少し持ち帰って湿らせると、一部に緑色の所が現れ、調べるとリュウキュウゴヘイゴケのようです。 なお、学名は平凡社では Mastigolejeunea auriculata、片桐・古木(2018)では M. repleta となっています。

 葉を含めた茎の幅は 1.5~2mmでした。

 上は腹面から撮っています。 背片は密に重なっています。

 背片の腹縁は内曲し、それがそのまま腹片に連なっていますので、その境が不明瞭な場合が多くあります。 腹片の先に鈍歯がありますが、この鈍歯もほとんど目立たないものから上の写真のように大きなものまで様々です。

 細い枝につく小さな葉では、上の写真のように腹片が明らかです。

 上は腹面から腹葉にピントを合わせて撮っています。 腹葉はうっすらと見えている茎の約3倍幅です。

 上は背片で、長さは1~1.5mmで全縁です。


 上の2枚は背片の葉身細胞で、上が中央部、下が基部近くです。 油体はブドウ房状で、各細胞に1~3個あります。

 腹葉は倒卵形で全縁、切頭~微凹頭で、やや外曲しています(上の写真)。

(2023.12.30. 高知県 横倉山)

2024-01-04

ニセイシバイゴケ

 石灰岩上のコケ群落(上の写真)、蘚類はニセイシバイゴケ Tuerckheimia svihlae、苔類はイトコミミゴケ Lejeunea parva だと思います。 以下は前者についての観察記録です。

 上は、少し離れた場所にあった、乾いた状態の本種です。

 葉は線状披針形で、長さは約3mmでした(上の写真)。

 上は葉先です。 中肋はわずかに突出していて、その部分は平らで透明感があります。

 上は葉の基部です。

 上は葉の中部の細胞で、枝分かれして花のように見える大きなパピラがあります。

 上は葉の横断面です。 中肋と葉身部との境付近は裂けやすいようで、上より薄く切った下の切片では、葉身部はほとんど残っていません。

 中肋の背面にも腹面にもステライドが発達しています(上の写真)。


 上の2枚は茎の横断面とその中心部の拡大です。 茎には弱い中心束があります。

(2023.12.31. 高知県 横倉山)

2023-12-15

キサゴゴケ

 写真はキサゴゴケ Hypnodontopsis apiculata だと思います。 ヤシ(フェニックス?)の樹幹についていました。 蒴柄がらせん状に巻く特徴的な胞子体があれば、もっと確実になるのですが、蒴は確認できませんでした。

 湿ると上のようになります。

 茎の長さは約3mmです(上の写真)。

 上は葉です。 中肋は太く、葉縁は平坦でほぼ全縁です。 葉の基部の細胞は矩形で透明、平滑です。

 中肋は葉先に届いています(上の写真)。

 葉身細胞は円状六角形で長さ7~10μm、3~5個のパピラがあります。

 葉腋を中心に、たくさんの無性芽をつけています(上の写真)。

 上は無性芽です。

2023-12-05

フタバムチゴケ

 この記事は、2026.5.21.に少し書きなおしています。

 上はフタバムチゴケは Bazzania parabidentula でしょう。 北海道・雌阿寒温泉近くの森の、朽木の凹んだ穴の奥にあった比較的小形のムチゴケで、茎は基物にくっついて這い、鞭枝も同様に基物にくっついていました。
 なお、平凡社などではフタバムチゴケは B. bidentula となっています。


 植物体は淡緑色で、葉は多くが離生し、細長い卵形(~卵形)で、葉先に向かうにつれて次第に幅が狭くなり、そのまま尖るか2歯になり、葉先は根元方向を向きます。 葉先が3歯になることはありません。 葉も腹葉も脱落し易く、プレパラート作成過程でもしばしば脱落しました。

 上は葉です。 葉身細胞は方形~多角形です。

 葉と腹葉は合着していません。 腹葉は斜上し、大きさも形も変異が大きく、上は縦長ぎみですが、横長の方がやや多いようです。

 腹葉は葉と同じ色で、先端は弱凹状です(上の写真)。