岩上に生えている写真のコケは、以下のような特徴からツクシハリガネゴケ Bryum billardieri だろうと思います。 無性芽は見当たりませんでした。 ツクシハリガネゴケはしばしば葉腋に糸状の無性芽をつけるようですが、「しばしば」は「必ず」ではありません。 (同行の人の観察によると、ほんのわずかですが、無性芽があったようです。: 2/28追記)
◎ たくさんの無性芽をつけたツクシハリガネゴケを【こちら】に載せています(2019.7.追記)。
ツクシハリガネゴケの葉は、上の写真のように茎の上部に集まり、傘状になる傾向があります。 そして葉の目立たないところの茎を拡大すると・・・
たくさんの褐色の仮根に覆われています。
葉は中央部より先で最も幅広くなっています。 上のスケールのいちばん大きな目盛が1mmですから、上の写真の葉は 5.5mmほどあります。 平凡社の図鑑ではツクシハリガネゴケの葉の長さは3~4.5mmとなっていますが、ハリガネゴケ属でこんな大きな葉を持つ種は他にありません。
糸状のゴミが入ってしまいましたが、上は葉先の部分です。 中肋は短く突出し、明瞭な舷があります。 葉の上部には小歯があります。
葉身細胞は長六角形で、長さは 50~80μmです。
(2017.2.8. 西宮市名塩廃線敷)
----(以下、2025.8.24.追加)------------------------------------------
本種とカサゴケモドキはよく似ています。 こちらの記事を書くにあたり、比較のため、本種の葉の中肋断面と葉縁の断面をこちらに追加しました。
上は中肋の断面です。 本種の中肋の背面側の大部分はステライドで占められています。
上は葉縁の断面です。 本種の葉縁に歯舷があるのですが、中部以下の葉縁は反曲していて、葉のそのままの観察では舷の確認が難しくなっています。 しかし断面を見ると、舷を構成している細胞は厚壁で、他の細胞と容易に区別できます。
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