2017-02-19

ゼニゴケの精子


 ゼニゴケの雄器床に水を垂らすと、たくさんの精細胞が雲が湧き立つように出てきました。(写真の右下の白い部分は水に光が反射したものです。)


 上が精細胞を出した雄器床です。 精細胞を出した後に乾かして撮りましたので、少し皺がよっています。 1枚目の写真は、ほぼ上の赤で囲んだ所です。

 精細胞で白濁した水をスポイトで取って顕微鏡で観察すると・・・


 造精器から出たばかりの状態で見られるものの多くは精細胞( 精子は細胞壁の中をグルグル回っています:上の写真では丸く写っています )です。 泳ぐのに必要な精子の持っているエネルギー源はほんのわずかです。 しかし精細胞の状態では細胞質にあるエネルギー源を使うことができます。 多くの精子は精細胞の状態で卵細胞の近くまで運ばれるのでしょう(こちら)。
 しかし細胞壁から抜け出して泳ぎ出す精子もいます。 上の写真の中央には泳ぎ出した精子が写っているのですが、このままでは分かりにくいので、墨を入れ名称を書き加えたのが下です。


 精子は凝集した核が大部分を占める長い胴体部を持ち、核に沿うようにスプラインと呼ばれる微小管の束があります。
 頭部からは2本の鞭毛が出ていて、これを動かして進みます。 上の写真では2本の鞭毛の長さが違うように見えますが、これは立体を平面の写真にしているためで、2本の長さは同じです。
 頭部と尾部、それに鞭毛の先には細胞質のかたまりがあり、その部分が膨れて見えています。
 
 下は動画で、開始早々に画面が拡大しますが、拡大後の画面の長辺が約 100μmです。


 倍率を上げれば上げるほど被写界深度は浅くなります。 大きな画面をお持ちの方は、上の動画を中央の“右向き三角”でスタートさせてから、画面右下隅の「全画面」(途切れ四角のアイコン)をクリックしていただくと、少しは分かり易くなると思います。 細くて動くスピードも速い鞭毛はほとんど見えません。

 観察材料にしたゼニゴケ(雄株)は、2017.2.8.に西宮市名塩で採集したものを持ち帰り、雄器托が育つのを待って、今日観察したものです。

◎ ゼニゴケの雄器床の断面などはこちらに載せています。


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