写真はベニエキンシゴケ Ditrichum rhynchostegium だと思います。 胞子体は、古くなって蒴歯もほとんど残っていないものと、新しく伸びはじめたばかりのものしかなく、また平凡社の図鑑ではこの属の分類は容易でないと書かれていて、少し心配ですが・・・。
蒴柄の長いものは4cm近くあります。 蒴はほぼ直立しています。
上は伸びはじめたばかりの蒴をつけているもので、蒴柄は金色です。 葉が片方に流れているのは、群落の端にあった株だからでしょう。 苞葉は5mmほどあり、蒴柄を抱いています。
上は葉の先端部で、細かい歯が見られます。
上は葉の基部で、中肋の境界は不明瞭です。
葉身細胞は矩形です。
上は葉の中央部の断面です。 中肋のみになっていて、ガイドセルの周囲にはステライドが見られます。
上はわずかに残っていた蒴歯です。 どの蒴歯も途中で折れてしまっていますが、基部まで線状に2裂していて、細かいパピラで覆われています。 ちなみに、属名 Ditrichum の di は「2」の、trichum は「糸」の意味ですが、この蒴歯の様子に由来しているのだと思います。
(2018.2.14. 堺市南区鉢ヶ峯寺)
◎ 蒴の様子がもう少しよく分かるベニエキンシゴケをこちらに載せています。
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