2018-09-28

ユリの観察(花粉粒など)


 ユリの花をいただきました。 カサブランカという品種でしょうか。

 美しいものを美しいと鑑賞すればいいものを、いろいろ調べたくなるのが私の悪い癖。 メシベとオシベの関係を観察すると、蕾が開いた時には、もう花粉は成熟しているようです。 この時、メシベの柱頭は乾いているのですが・・・


 2~3日経つと柱頭が濡れてきます。 花粉がくっつき易くするためとしか思いつかないのですが、あまり多すぎると、花粉が洗い流されてしまうような気もします。


 花粉を観察してみました。 オシベの葯からほんの少し少し花粉の集まりを取って水を加えてプレパラートにすると、黄色の液体の中にたくさんの花粉粒が見えます。 このプレパラートをカバーグラスの上から指で押さえて、黄色の液体から外れた花粉粒を深度合成したのが上の写真です。
 ユリの花粉は衣類やカーテンなどにつき易く、つくとなかなか取れずに困るので注意が必要ですが、その原因はこの黄色の液体にありそうです。 本来は花粉が虫の体にくっつき易くするための液体でしょうが、成分的には油分が多いようでベタベタしています。 上の写真でも、花粉粒の表面に、まだこの黄色い液体が点々と残っています。

 ところでこの花粉粒には、溝が1本見えています。 この溝について、下に少し書いてみます。

 被子植物の系統については、ゲノム解析から旧来とはかなり異なった系統樹が作られています(こちら)。 これを大きく眺めると、被子植物は、2つの単系統群(クレード)と1つの側系統群(グレード)の計3つに大別できます。 つまり、単子葉類と真正双子葉類の2つの単系統群と、この2つ以外の基部被子植物または原始的被子植物です。
 この3グループと関連する本質的な形態の違いの1つが、花粉粒の溝です。 いろいろな被子植物の花粉を調べてみると、基部被子植物と単子葉類の花粉粒は単溝粒またはその派生型であるのに対し、真正双子葉類の花粉粒は三溝粒またはその派生型です。

 ユリは単子葉類ですから単溝粒ですね。

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