2021-06-10

ツバキシギゾウムシ(メス)とヤブツバキの果実


 箕面の森のヤブツバキの多い所の擬木にいたツバキシギゾウムシ Curculio camelliae のメスです(撮影:2021.6.5.)。 和名はツバキの果実などに産卵するシギ(鳥)の嘴のような長い口吻を持ったゾウムシといった意味でしょう。
 こんなに口吻が長いのは・・・

 上はヤブツバキ(いわゆる野生のツバキ)の果実で、7月の撮影です。 葉と比較すると果実の大きさが分かるでしょう。

 上は11月の撮影で、ヤブツバキの果実が開裂し、種子が見えていますが、種子の大きさに比較して、とても厚い果皮です。 果実が開裂する前の生長過程にある種子は、このような硬く厚い果皮に守られています。

 ツバキシギゾウムシは種子が生長過程にある時期のヤブツバキの果実に長い口吻で穴を開けて種子に産卵し、孵化した幼虫はヤブツバキの種子を食べて育ちます。 穴を開ける際は、差し込んだ口吻を中心にして果実の上をぐるぐる円を描いて歩くことで掘り進みます。
 ヤブツバキは種子を守るため果皮を厚くし、ツバキシギゾウムシはその果皮よりも長い口吻を持つことで種子まで届く穴を掘ろうとする、こんなことが延々と続き、こんなに厚い果皮を持つヤブツバキと、こんなに長い口吻を持つツバキシギゾウムシになったと考えられます。

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