昨日に続いて、2021.6.5.に箕面の森で見たきのこたち、今日はお椀型のきのこを集めてみました。
● シロキツネノサカズキ
シロキツネノサカズキ Microstoma floccosum (ベニチャワンタケ科)は初夏に湿気の多い所の落枝などに発生します。 幼菌時には和名のように白い毛が目立ちますが・・・
胞子が成熟する頃には上のような姿になり、全体、特に柄の先のお椀の内側のオレンジ色がめだつようになります。 本種は子嚢菌類で、このお椀の内側が子嚢盤です。 強い風などの刺激が加わると、数秒後にはこの子嚢盤から白い胞子を吹き出します。
なお、シロキツネノサカズキモドキは本種にそっくりですが、春に発生し、胞子が本種よりも大きいという違いがあります。
● シロスズメノワン
シロスズメノワン Humaria hemisphaerica (ピロネマキン科)も子嚢菌類で、お椀の内側(子嚢盤)から胞子を出すことは同じです。 和名の「シロ(白)」はこの子嚢盤の色からですが、「ススメ」は子実体が小さいことと、子実体の外側がスズメの羽の色に似ているからでしょうか。
● コチャダイゴケ
チャダイゴケの仲間は数種あるのですが、写真はコチャダイゴケ Nidula niveotomentosa (ハラタケ科)だと思います。 前に載せた2種が子嚢菌類であったのに対し、本種は担子菌類で、形は似ていても、分類上はかなり異なります。
じつは上の状態は中に入っていたものが飛び出て空になった状態で・・・
すぐ近くにはお椀(というよりはコップでしょうか)の中身が残っているものもありました。 上の写真ではお椀の中に小さな茶褐色の碁石状のものがたくさん入っています。 この碁石状のものはペリジオール(小塊粒)と呼ばれていて、胞子はこの中にぎっしり詰め込まれています。
お椀の中に雨粒が落ちると、胞子の詰まったペリジオールは雨粒によって弾き飛ばされます。 下は上と同じものを角度を変えて撮った写真ですが・・・
写真の下には弾き飛ばされたベリジオールが落ちています。 ベリジオールは粘液に包まれていて、乾くと落ちた場所にくっつきます。
こんな近距離に胞子の詰まったものをばらまいても、離れた場所に分布を広げられそうにありませんが、落ちた場所が葉の上であれば、葉ごと虫や動物に食べられることもあるでしょう。 そして糞と共に排泄され、新しい場所で胞子が発芽します。
◎ チャダイゴケの仲間の幼菌には蓋があります。 こちらにはコチャダイゴケの蓋のある状態を載せています。
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