2022-05-10

マエバラマゴケ


 大阪府河内長野市の千早口駅近くの、厚く土が溜まったコンクリート製の擁壁に、ハリガネゴケの群落があり、その一角に写真のような赤い蒴が目立つコケがありました(撮影:2022.5.8.)。 少し持ち帰り、平凡社の図鑑の検索表をたどるとマエバラマゴケ Bryum radiculosum となったのですが、平凡社には検索表にあるのみで、種別の解説はありません。 あちこち探してみると、Noguchi(1988)に B. mayebarae としての記載があり、記載内容は観察結果とよく一致します。
 胞子体の大きさと比較して配偶体はとても小さく、特に胞子体をつけている配偶体はかなり弱っていました。
 写真はカラカラに乾いている状況で、上記のようにハリガネゴケの群落と接していて、ハリガネゴケの葉は強くねじれているのですが、本種の葉はやや巻き気味に茎に強く接していました。

 上は湿った状態で、葉は少し開いています。 蒴は乾湿に関係なく垂れ下がっています。 蒴は赤褐色で長さは約3mm、蓋はドーム状で丸みを帯びるか、かすかに尖り、帽に続く蒴口の下が少し凹んでいます。 蒴柄も赤褐色で、長さは上の写真では 13mmほどで、Noguchiでは9~15mmとなっています。

 葉は楕円形~長楕円形で、舷は無く、葉縁はほとんど反曲していません(上の写真)。 中肋は突出しています。

 上は葉のほぼ中央の葉身細胞です。 細胞壁も赤く染まる傾向があるようです。

 蒴は蓋のついたものばかりでしたが、蒴歯などを調べるために強引に蓋を取り去りました(上の写真)。

 上は蒴を縦に切断して胞子を取り去り、蒴の内側から撮っています。 頸部は大きく、長さは壺と同じくらいですが、幅は壺の幅より小さく、蒴柄にかけて次第に細くなっています。


 上の2枚は蒴歯を蒴の内側から撮っています。 内蒴歯の基礎膜は高く、外蒴歯の2/3ほどの高さがあり、歯突起には大きな孔があります。 間毛は(2~)3本です。

 頸部にはたくさんの気孔が見られました(上の写真)。 本種の蒴は厚く丈夫で、特に肉厚の頸部は透過光ではなかなかうまく撮影できませんでした。

 上は胞子で、10~12μmの大きさです。

 胞子の表面にピントを合わせて拡大すると、表面は細かい乳頭状突起に覆われていることが確認できました。

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