2022.4.30.に六甲山で見た上の写真のチヂミバコブゴケ Oncophorus crispifolius、蒴があまり赤くありませんし、少し大きいように思い、持ち帰って調べてみることにしました。
上の写真で、茎の長さは約 7.5mm、葉の長さは3~4mm、蒴柄の長さは約6mmです。 平凡社の図鑑では本種の蒴柄は長さ3~5mmとなっていて、上の写真のものは少し長いようです。
本種と同じ属のものにエゾノコブゴケ O. wahlenbergii (以下「エゾ」と略します)があります。 分布は北海道~九州ですが、こちらはずっとで大形で(こちら)、蒴柄の長さも平凡社では8~12mmとなっています。
写真のものはやはりチヂミバコブゴケ(以下「チヂミバ」とします)かと思ったのですが・・・
上は、中肋部の左下が少し欠けましたが、葉のほぼ中央の横断面です。 中肋にはガイドセルがあり、ステライドは明瞭です。 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。
平凡社の図鑑では、チヂミバの葉身部はふつう2細胞層、エゾの葉身部は1細胞層となっています。 たしかに前に調べたチヂミバの葉身の大部分は2細胞層でした(こちら)。 しかし上の写真では、葉縁を除いて大部分の葉身部は1細胞層です。
中肋部の様子の確認も兼ねて鞘部の横断面も調べてみました(上の写真)。 鞘部は1細胞層です。
蒴歯も調べてみました。 蒴歯は1列16本で、上の写真にはそのうちの5本が写っています。 蒴歯は中部まで2裂しています。 下の2枚は上の写真の一部の拡大です。
蒴歯の上部はパピラで覆われています。
蒴歯の下半部には縦の条があります。
以上の観察結果から、やはりチヂミバコブゴケだと思いますが、タイトルには(?)をつけておきます。
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