2023-04-01

ハセガワカタシロゴケ

 平凡社では Calymperes(カタシロゴケ属)は日本産7種とされていますが、現在日本で見られる本属は10種となっているようです。 本属は熱帯を中心に分布するコケで、胞子体をほとんどつけないため、葉の形態を中心に分類されています。
 下の写真のコケ(2023.3.10.撮影)は、屋久島の渓流から突き出た岩上で育っていたのですが、Calymperes moluccense (和名なし)かと思って載せたのですが、カタシロゴケ科を研究している人から、ハセガワカタシロゴケ Calymperes fasciculatum だろうと教えていただきました。

 葉先に無性芽をつけています。

 上は乾いた状態で、葉は茎の方に寄っていますが、あまり縮れていません。 これに水を与えると、すぐに下のような状態になります。

 ハセガワは平凡社では、茎は長さ2~5cm、上部の葉で長さ4~12cmとなっていますから、平凡社の記載より小形です。

 平凡社ではハセガワの葉身部の長さは基部の4倍くらいとありますから、平凡社の記載よりは細長くなっています。

 上は無性芽ができ始めている葉先を腹面から撮っています。 C. moluccense の無性芽をつける葉は、上部がもっと極端に細くなり、先端のみ広がって無性芽を包むように内曲するようです。

 上は無性芽ができかけている別の葉先を背面から撮っていますが、無性芽は腹面にのみ作られるために、上の写真では、はっきりしません。

 上は葉先の無性芽です。赤い矢印の無性芽は葉先についたまま発芽しています。

 葉の基部には網目状組織があります。 また、上の写真の矢印の所で舷が無いことが確認できます。 葉の中部以上の葉縁は細胞が層になっていて厚く、色濃く見えていて、小さな歯がついています。
 本種の属するCalymperes(カタシロゴケ属)とカタシロゴケなどの属する Syrrhopodon(アミゴケ属)は互いによく似ていますが、前者は上記のように葉縁に舷は無いのですが、後者の葉縁にはふつう舷があります。

 上は葉の横断面と葉縁の拡大です。 カタシロゴケ科には葉身細胞にパピラを持つ種が多いのですが、本種の葉身細胞は平滑です。 葉縁は2細胞層の厚さがあります。

 上は葉先から2/3ほどの所の中肋の横断面です。 腹面に1層の葉緑細胞があります。 ガイドセルがあり、ステライドが発達しています。

 上は葉縁の鈍歯で、上のような双生と単生が混在していました。 C. moluccense には双生の歯は無いとのことです。

 上は葉の基部の様子です。 葉縁の少し内側に細長い細胞が並んでいます。 この組織はテニオラと呼ばれているものです。

 テニオラは葉鞘部の肩の所で止まっています。 C. moluccense のテニオラは葉の中部にも発達するとのことです。 ちなみに、平凡社では本種にテニオラは無いと書かれています。

 上は葉身細胞です。

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