ヤブデマリ Viburnum plicatum var. tomentosum の実が美しく色づいていました。 果序は枝の上に並んでいるようにみえます(2024.7.21. 京都市西京区大原野)。
果実は、完熟すれば黒紫色になり、もうそろそろ完熟した果実が混じる時期だと思うのですが、完熟したものから順に鳥に食べられているのかもしれません。
ヤブデマリは山の谷筋など、水分の多い所でよく見られます。 葉は対生、果序(花序)は1対の葉をつける短枝に頂生しています。
花は5~6月です。 よくアジサイの仲間(ミズキ目アジサイ科)と間違えられますが、こちらはマツムシソウ目レンプクソウ科で、系統的にはかなりかけ離れています。
以下は Part1の2009.6.16.(撮影は2006.6.6.)からの引っ越し記事です(文章はかなり書き改めています)。
上が花序です。 花序の縁には装飾花として機能している無性花が、中心部には両性花があります。 つまり、虫を引き寄せる役目をもった花と、花粉を媒介してもらって種子を形成する花とに“分業”しています。 この点はガクアジサイなどに似ているのですが、ガクアジサイの装飾花は4枚のガクが大きくなっています(注1)。 これに対し、本種の装飾花は、大きい花弁が2枚と小さい花弁が2枚の、計4枚の花弁を持つように見えますが、よく見ると、もう1枚、たいへん小さな花弁があります(上の写真)。 そして、これらの花弁は基部で互いにくっつきあっています。 つまり、ヤブデマリの花は、切れ込みの深い合弁花です。
ヤブデマリの装飾花の白い目立つ部分がガクではなく花弁だというのは、花を裏から見ればすぐに分かります。 裏から見れば、ちゃんと小さなガクがついています(上の写真)。 もちろんガクアジサイの装飾花を裏から見ても、さらにガクがあるということはありません。
(注1) ガクアジサイの和名は、4枚のガクが大きく目立つからではなく、装飾花が花序の周囲に額縁のように並ぶからと言われています。
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