2024-07-24

オオツボミゴケ

 小さな渓谷の、水際の岩上に育っていた写真のコケ、平凡社の検索表をたどると、オオツボミゴケ Solenostoma radicellosum になりました。

 この時期の花被は稜のある三角錐です

 上は花被の縦断面です。 ペリギニウムが発達し、最内側の雌苞葉は明らかに造卵器より上についています。

 上は植物体を横から撮っていて、上が腹面、下が背面です。 腹葉は無く、茎の腹面には仮根の束がついています。 仮根の束は、上の写真では茎の腹側が木化したようにも見えますが・・・

 上は茎の横断面で、中央の円い所が茎で、写真の上が背面、下が腹面です。 茎から右上と左上に伸びているのが葉で、茎の腹面の赤い四角内の褐色の部分が仮根の束です。
 下は上の赤い四角の部分の拡大です。

 上の写真のように拡大すると、仮根の束であったことが、はっきりと確認できます。


 上の2枚は背面から撮っています。 茎の幅は葉を含めて約2.5mmです。 この仲間の同定にはこの幅も関係します。
 ところで、平凡社の図鑑の検索表では、葉の幅と高さのどちらが長いかが重要になってきます。 オオツボミゴケなら、葉の形が腎臓形で、幅が長さより広い方を選ぶことになるのですが、上の写真を見ても、茎の上部の葉は長さが幅より長く、茎の下部に行くにつれて長さより幅の方が広くなり、腎臓形の葉も出てきます。 1枚の葉の形で判断してはいけないのは当然のこととして、どのあたりの葉を見るかが重要になってきます。 ここでは元気の良い“腕白な”葉より“落ち着いた状態”の葉の形を大切にし、葉の幅の広い腎臓形の葉があることを重視したいと思います。


 葉の形や大きさは大きく変わることを示すために、上に2枚の葉を並べました。 なお、仮根が葉の基部から出ていることも本種の特徴の1つです。 

 上は葉縁付近の細胞です。

 上は葉身細胞です。

(2024.7.21. 京都市西京区大原野)

◎ オオツボミゴケはこちらにも載せています。

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