2025-05-13

イボイボムクムクゴケ

 写真はイボイボムクムクゴケ Trichocolea japonica でしょう。 5月9日~11日に開催された「苔類だけのコケ展」の会場で分けていただきました。
 日本に分布する Trichocolea(ムクムクゴケ属)は、平凡社では1種しか載せられていませんが、現在では5種の分布が知られています。 そのうちの1種である本種は、日本固有種で、本州中部地域にのみ知られています。 ちなみに他の4種の日本における分布は、片桐ら(2013)と片桐(2016)によると、次のようになります。
 ・ ムクムクゴケ T. tomentella ・・・ 全国に広く分布
 ・ ハネムクムクゴケ T. pluma ・・・ 南方系で、関東地方以南に広く分布
 ・ コムクムクゴケ T. rudimentaris
   ・・・ 小型で壊れやすい葉をもつ。 南方系で、日本では西表島に分布
 ・ イリオモテムクムクゴケ T. iriomotensis
   ・・・ 油体に複数の眼点をもつ。 西表島に分布



 いただいた時点で油体は消失していましたが、油体に眼状斑は無いとのことです。 その他、2~3回羽状に分枝する様子や、細裂し長毛状になった葉の細胞が薄壁であることなどは、ムクムクゴケに似ています。 しかし、長毛状になった葉の細胞表面が、上の写真のように強く乳頭状・いぼ状になっていることが本種の大きな特徴で。顕微鏡で観察すればムクムクゴケとは容易に区別することができます。

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