岩面を真っ赤に覆うコケ、調べてみるとコアミメヒシャクゴケ Scapania parvitexta でした(2025.6.1.に京都市右京区京北上弓削町の標高500m付近で撮影)。 低地から亜高山帯まで広く分布するコケで、このブログでもこれまで何度も載せていますが(いちばん下にまとめました)、大きな群落全体がこれだけ赤く見えるのは初めてです。
ヤマトフデゴケやコスギゴケが少し混じっていますが、環境要因なのか、これらの緑色が薄いのが気になります。 緑色が薄くなる環境が本種にも影響し、赤い色を引き立てているのかもしれません。
横から見ると、腹片は外曲しています(上の写真)。 直射日光にさらされていない所は緑色のようです。
上は背面から撮っています。 葉を含めた茎の幅は1~2㎜、背片は茎を覆うようについています。
背片も腹片も葉縁に歯があります。
上は葉で、左が腹片、右が背片です。 キールは明瞭です。
上は腹片の先近くです。 歯は長披針形で、先端の細胞は長く伸びています。
上は背片の先近くです。 長く伸びた細胞があります。
上は腹片の中央付近の葉身細胞です。 細胞は長さ 12.5~15μm、厚壁で、縦横に規則正しく並んでいます。 和名の「網目」は上の写真の細胞壁の様子からではないでしょうか。
なお、亜高山帯の倒木上には本種とよく似たトゲハヒシャクゴケ S. hirosakiensis が分布しますが、こちらの植物体は黄色みを帯びる傾向があり、葉身細胞の長さは 20~24μmとのことです。
◎ 平凡社には「コヒシャクゴケ」というコケが載せられていますが、現在では本種と同種とされています。 こちらにはコヒシャクゴケタイプの本種を載せています。 また、こちらには花被をつけた本種を載せていますし、こちらには本種の葉のつき方がよくわかる深度合成した写真を載せています。
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