2025-06-07

イワダレゴケ

 写真はイワダレゴケ Hylocomium splendens でしょう。 新芽が伸びてきています。 濡れているのは雨後のためです。 京都市右京区京北上弓削町で2025年6月1日に撮影しました。
 平凡社では、「(本種は)深山,とくに亜高山の針葉樹林の林床や岩上,腐木上にしばしば大きな群落をつくる。」とあります。 私も針葉樹林帯ではたくさん見ていますし(例えばこちら)、一度だけブナ帯で見たことがありますが、市の外れとはいえ京都市の標高500m付近にあったのには少し驚きました。

 本種はふつう春に茎の途中から新芽が伸びますが、新しく伸び出した茎の下部では枝を出さず、上部で羽状に分枝します。 そのため、階段状に枝を広げた数から、何年成長を続けた茎かを推定することができます。 上の写真のものでは、少なくとも7年目に入ったと考えて良いでしょう。

 本種の茎葉と枝葉とは、上の写真のようにかなりの大きさの違いがあります。 また、茎や太い枝には多くの毛葉があります。

 上は茎葉です。 茎葉は長さ2~3㎜、卵形の葉身部から急に細く屈曲した葉先となります。 中肋はふつう2本です。

 葉縁にはほぼ全周に細かい歯があります(上の写真)。

 葉の基部には褐色の細胞が並んでいました。 上の写真の左下には毛葉も写っています。

 上は葉身細胞の背面で、右が葉先方向です。 細胞の上端に小突起があります。

 上は茎の横断面で、表面は多くの毛様で覆われています。 中心束はありません。

こちらには蒴をつけたイワダレゴケを載せています。

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