2022-11-05

バンダイゴケ

 写真はバンダイゴケ Rauiella fujisana でしょう。 朽木についていました。 蒴は傾き、やや非相称です。

 茎は這い、幅は茎葉を含めて 0.5~0.2mm、糸くずのような太さです。 そこから長さ2mmほどの枝を羽状に出していますが、枝分かれはあまりありません。

 上の写真で蒴柄の基部は隠れてしまっていますが、蒴柄の長さは1cm以上あります。 また、中央左に苞葉が写っていますが、苞葉も2mmほどの長さがあります。

 上は茎葉です。 長さは約 0.5mm、広卵形の下部から急に細く尖っています。 中肋は葉長の 2/3くらいで終わっています。

 上は茎葉の葉身細胞です。 長さは8~13μmで、中央に先が2~4個に分かれたパピラが1つあります。

 上は枝で、枝葉は卵形で鋭頭です。 枝葉にも茎葉と同様のパピラがあります。

 茎にはたくさんの毛葉があります(上の写真)。

 上は毛葉です。

 上は雌苞葉です。 葉形も細胞の形も全く異なっています。

(2022.8.24. 札幌市 手稲山山麓)

◎ こちらでは蒴をもう少し詳しく見ています。 またこちらには帽を持った蒴のある本種を載せています。

2022-11-04

コシノウスグロゴケ?

 

 札幌市の手稲山山麓の樹幹に育っていたこのコケ(撮影は 2022.8.24.)は・・・

 茎ははい、不規則な羽状に分枝しています。

 枝は葉を含めて幅 0.5~1mmです。


 上は枝葉で、長さは約1mmです。 葉縁の中部が反曲していて広披針形の葉形を分かりにくくしています。 中肋は太く、ほとんど幅を変えずに葉先近くに達し、そこで消えています。

 上は背面から中肋にピントを合わせています。 中肋背面は平滑で、ピントが合っていない葉身細胞にもパビラはほとんどありません。

 上は腹面から撮っています。 葉身細胞は厚壁で、長さ5~12μm、中央に1個のパピラがあります

 中肋や葉全体の様子からウスグロゴケ科だろうと思います。 平凡社の検索表も蒴が無いとうまく検索できず、自信は無いのですが、コシノウスグロゴケ Leskea polycarpa の特徴が比較的近いように思います。 分布は本州のブナ帯以上と北海道です。

◎ コシノウスグロゴケと思われるコケはこちらにも載せています。

 

2022-11-03

ミヤマモジズリ

 写真はミヤマモジズリ Neottianthe cucullata です。 まだ夏の終わりのコケ調べの旅で出会ったコケ調べを続けていますが、その時に見たランで、2022.9.3.に茅野市の標高1540m付近で撮った写真です。
 いろいろな植物に囲まれていますので分かりにくいのですが、大きな葉は写真右下に写っている2枚の根生葉のみです。

 和名にはネジバナの別名である「モジズリ」の名を冠されていて、花のつき方はたしかにネジバナに似たところもありますが、花はネジバナのようなきれいな螺旋形にはついていませんし、属も別です。

 大きな唇弁は深く3裂し、紫色の斑点があります。 残りの花被片(花弁2枚とガク片3枚)は寄り集まって唇弁の上に屋根のように突き出しています。 距は湾曲しています。

2022-11-02

ハリスギゴケ

 上は岩の隙間に育つハリスギゴケ Polytrichum piliferum です。 白い芒が長く伸びています。

 茎も長く、前に載せたもの(こちら)とは葉の色も異なり、生育環境による違いに少し驚きました。


 上の2枚は葉の断面です。 葉身部の縁は広く折れ畳んで薄板を覆っています。 薄板の高さは6~8細胞で、端細胞はフラスコ形です。

(2022.9.4. 北八ヶ岳)

2022-11-01

チヂミカヤゴケの雄株

 上はチヂミカヤゴケ Porella ulophylla の雄株です。 雨の日の薄暗い所で、黒っぽい樹幹に光沢のない濃い緑のコケでは写真にならず、生育地での写真はありません。
 本種の雌株の背片は著しく波打ちますが、雄株はそれほどでもありません。

 所々に雄花序と呼んでもいいような短枝がついていましたが、上の枝にはそのような短枝がたくさん垂れ下がっています。 上は背面からですが、下は腹面からです。

 この短枝の1つを取って内部を調べたのが下です。

 残念ながら空洞があるだけで、造精器は確認できませんでした。 造精器が作られるのは、もう少し後になるのだと思います。

 最後に1枚だけ、生殖器官が無い所の腹面から撮った顕微鏡写真を下に載せておきます。

(2022.10.25. 兵庫県三田市)

◎ 造精器をつけた本種の雄株はこちらにも載せているのですが、造精器をつける枝の様子が異なっています。