2020-07-10

チヂミカヤゴケ(雄株)


 垂直に近い岩にあった上の写真のコケ、周囲にはマメヅタがたくさんありました。 雨に濡れていることもあり、よく分からないので、持ち帰って調べることにしましたが、第一印象は「だらしないコケ」でした。


 葉は長さ1mm少しで、鈍頭です。 赤い円で囲んだ部分については最後に書いています。


 上は腹面から撮っています。 少し乾いてきていて、背片は葉先が少し内曲しているものが目につきます。 腹片はほぼ三角形です。 腹葉は、葉先は円頭~切頭から少し凹んでいるものまでと定まっていませんが、基部が下垂しているのは共通のようです。


 上は透過光で腹片にピントを合わせて、腹片の形の確認です。



 上の2枚は透過光で撮った腹片です。


 上は葉身細胞です。 小さな楕円体の油体がたくさんあるのはクラマゴケモドキ科の特徴ですし、腹片が三角形であることなどから、チヂミカヤゴケ Porella ulophylla の雄株と判断しました。


 上の写真のようなものがあちこちにありました。 2枚目の赤い円で囲った部分と同じものでしょう。 これはたぶん雄花序でしょう。 透けて見える球形のものが造精器で、それを雄包膜が包み込んでいる姿だと思います。 時期からしても古い造精器のはずですし、造精器には透明感がありますから空っぽのはずで、苞葉を取り除いてその中を確認することは止めました。
 チヂミカヤゴケの造卵器は枝の先についていますが、造精器はこのように枝の途中につくようですね。

(2020.7.8. 大阪府 箕面公園)

◎ 生殖器官をつけた本種の雄株はこちらにも載せています。