2023-01-11

カミムラヒメクサリゴケ

 上はクラマゴケモドキの時に載せた写真の再掲で、赤い楕円はクラマゴケモドキの雄花序です。
 水色の所にあるのが今回のコケで、カミムラヒメクサリゴケ Cololejeunea magnipapillosa だと思います。

 TG-6で拡大して撮影しました(上の写真)。 植物体の幅は葉を含めて約1mmです。 以下、クラマゴケモドキからそっと剥がして光学顕微鏡で観察です。

 葉身細胞の中央にはパピラがあります。 上の写真では分かりませんが、このパピラは背面に突き出ています。
 腹片は背片の1/3~1/2長で、キールの背面はパピラ状です。

 上は葉(側葉)を1枚剥がし、背面から背片にピントを合わせて撮っていて、後ろにある腹片がぼんやり見えています。
 背片の基部はビッタ(注)状になっています。 また、上の写真は採集からほぼ1カ月経っていますので、はっきりしませんが、眼点細胞が散在しています。
 (注) ビッタ(vitta):細長い細胞が続く構造で苔類の葉にみられる。

 上は腹面から腹片を深度合成した写真です。 腹片には歯牙が2つあるのですが、どちらを第1とするのかは統一が取れていないようですので、ここでは上の写真に書き込んだ用語を使用します。
 第1歯牙は1細胞幅で2細胞長、先端は丸い細胞です。 第2歯牙は1細胞で、尖っています。

 本種の第1歯牙の内側の基部には球形の透明細胞があります。 ただし内側ですので、上を覆う細胞に邪魔されて、条件がそろわないと確認することができません。

 上は葉身細胞です。 油体は楕円形~円形で、やや大きい微粒の集合です。

(2022.12.6. 大分県 深耶馬渓)

◎ カミムラヒメクサリゴケはこちらにも載せています。

2023-01-10

カゴシマヤスデゴケ?

 大分県・深耶馬渓の太い木の枝にくっついていたコケ群落、その中で、他のコケにくっついていたのが上の写真のコケです(2022.12.6.)。
 ほんの少ししかありませんでしたし、汚れもひどかったのですが、どうにか特徴の分かる所を撮った写真を下に載せます。

腹片

腹葉

葉身細胞

 これらの特徴から、このコケはカゴシマヤスデゴケまたはオオスミヤスデゴケだと思いますが、腹片にしても腹葉にしても、多くを観察することができず、はっきりとした特徴がつかめません。
 平凡社の図鑑から両者の特徴を抜き出して表にしたのが下ですが、違いはわずかです。


カゴシマヤスデゴケ オオスミヤスデゴケ
腹片 幅が長さの約2倍
腹葉 大きさ 茎径の4~5倍 茎径の4倍、幅は長さの約2倍
切れ込み 1/5~1/4 1/4
側縁
片側に4個以上の歯
花被 3稜で平滑 3稜、稜にいぼ状突起

 花被の違いがいちばんはっきりしそうですが、花被はみつかりませんでした。 オオスミヤスデゴケの腹葉側縁の歯も、膨らみのような低い歯の場合もあるのですが、「4個以上」を信じて、とりあえずカゴシマヤスデゴケ Frullania kagoshimensis としておきたいと思います。

2023-01-08

トウヨウネジクチゴケ

 

 咲くやこの花館の熱帯雨林植物室で育っていた写真のコケ(2023.1.7.撮影)、顕微鏡で調べた結果は、トウヨウネジクチゴケ Barbula indica のようです。

 葉縁は全縁で、葉の下部では狭く反曲しています(上の写真)。 これらの特徴は、葉の大きさは少し小さいものの、ネジクチゴケとよく似ています。

 葉身細胞は方形で、C字形のパピラがありますが、これもネジクチゴケとよく似ています
(上の写真)。

 蒴の無い状態で、本種がネジクチゴケと明瞭に区別できるのは中肋背面の表皮細胞の様子です。 ネジクチゴケの表皮細胞では1列に並んだパピラがある(こちら)のに対し、本種では前後の細胞のつなぎ目に大きなこぶ状のパピラがあります(上の写真)。

こちらでは上記内容をもう少し詳しく観察しています。 またこちらには本種の蒴の様子などを載せています。

2023-01-06

12月のクラマゴケモドキ(雄株と雌株)

 

 枝に絡んだ乾いたコケ(2022.12.6.大分県の深耶馬渓で撮影)、湿らせると・・・

 上は腹面から撮っています。 背片の先端部に数個の長毛があり、腹片にも腹葉にも全周に毛があることから、クラマゴケモドキ Porella perrottetiana でしょう。
 本種は雌雄異株で、赤い楕円で囲った所は、その形態から、雄花序だと思います。 雄苞葉を取り去って観察したのですが、既に造精器は無くなっていました。

 上は背側からの撮影です。 腹側からと同様、背側からでも雄花序はよく分かります(赤い楕円の所)。
 水色の楕円で囲った所に小さな苔類がくっついていますが、これについては稿を改めることにします。


 少し離れた枝には雌株が育っていて、弾糸の目立つ蒴が点々とついていました(上の写真)。この弾糸の顕微鏡写真などはこちらに載せています。

◎ 本種の配偶体の様子は、こちらにもう少し詳しく載せています。

2023-01-04

シロハイゴケ


 写真はシロハイゴケ Isopterygium minutirameum でしょう。 大阪市にある咲くやこの花館の熱帯雨林室にありました(2022.12.19.撮影)。 平凡社によると、アジアの熱帯~亜熱帯やオーストラリアに分布するコケで、日本では本州~琉球・小笠原に分布します。
 小形のコケで、枝は葉を含めて幅約1mmです。

 葉縁は全縁か葉先近くにかすかな歯があります。 中肋は2本で短いか不明です(上の写真)。

 上は翼部の様子です。

 葉身細胞は線形で、長さ 70~100μm、幅は約5μmです。


 Isopterygium(シロイチイゴケ属)の■偽毛葉は1細胞列の糸状です(上の2枚の写真)。

 上は茎の横断面です。 茎の表皮細胞は小さく、厚壁です。

◎ シロハイゴケはこちらこちらにも載せています。