上はウロコハタケゴケ( Riccia lamellosa )でしょう。 街路樹の湿り気のある根元に育っていました。 葉状体の縁から無色の腹鱗片がはみ出ていて、これが鱗のように見えます。 葉状体は二又に分かれ、しばしば1枚目の写真のようなほぼ円形の群落を形成します。
ウロコハタケゴケは古木達郎により2000年に「蘚苔類研究」で報告された苔です(こちら)。 一見するとハタケゴケ( Riccia glauca )に似ているのですが、肉眼的に“鱗”に気付かなくても、葉状体の中央部にある溝が、ハタケゴケでは幅広いのですが、本種では線状です。 古木は、これまで見つからなかったのが不可解で、帰化種である可能性があるとしています。
上はウロコハタケゴケの葉状体の断面です。 気室はありません。 背面部(=上側)は柵状に細胞が並び、その一番上の細胞は葉緑体を持っていません。
上は葉状体の中央付近の背面部の断面です。 柵状に細胞が並んでいますが、中央の溝の部分に他とは様子の異なった構造が見えます。 下はその拡大です。
上は雌器で、たぶん受精したばかりの状態だと思います。 なお、ウロコハタケゴケは雄器も葉状体の組織中に埋もれています。
(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)
◎ 成熟した胞子体を持ったウロコハタケゴケや胞子の様子などをこちらに載せています。