2016-04-10

イスノキの花


 上は4月2日に長居植物園で撮ったイスノキの花序(総状花序)です。 葯が開裂する前の赤いオシベが目立つこの時期が、イスノキの花のいちばん美しい時期でしょう。 ただ、すぐにオシベが花粉を出しはじめますので、この美しい時期は長くは続きません(こちらには5月初旬のイスノキの様子を載せています)。
 イスノキの属するマンサク科には“個性的”な花が多くあります。 イスノキも総状花序の枝先に1つの両性花が、花序の枝の基部には雄花がつきますが、両性花にも雄花にも花弁は無く、花序の枝全体で1本のメシベの下に多くのオシベがある1つの花のようなつくりになっています。 さらに、1つの花のオシベの本数は決まっていません。 オシベがたくさんある花の場合には多少のオシベの本数に違いがあるのは当然ですが、①1つの花に数本しかないオシベの数が不定というのはおかしなことです。 このことを頭に置いて以下の花を見てください。


 上の写真中央は両性花です。 柱頭が2裂した1本のメシベと5本のオシベがあり、ガク片らしきものも見えます。 そしてその両性花のすぐ下から3本のオシベが出ています。 これはオシベがまとまって出ていますから雄花でしょう。 この雄花のすぐ下にあるのは、ガク片というよりは苞葉のように見えます。 ②この苞葉のようなものと両性花のガク片らしきものに違いはあるでしょうか。


 上は花粉を出している両性花で、オシベが花粉を出す時は、写真のようにほぼ水平に広がります。 そしてこの両性花のオシベは6本です。


 上は雄花です。 写真左の雄花には5本のオシベが、右の雄花には7本のオシベがあります。 やはり「 花の基部にあって四方に広がるガク片 」らしきものは見当たりません。

 この①と②を踏まえると・・・ イスノキの花は本来の花弁もガク片も欠いていて、雄花は1枚の苞葉と数本のオシベで構成されており、両性花らしく見える花は、1枚の苞葉と1本のメシベからなる雌花に1~数個の雄花が加わった複合花であるとの解釈もできそうです。

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