2016-04-11

コツボゴケ


 写真はコツボゴケ Plagiomnium acutum でしょう。 林の中の道の脇で育っていました。


 同じ属のツルチョウチンゴケなどと同様、コツボゴケは直立茎と匍匐茎の2種類の茎を持ちますが、撮影時(4月3日)には直立茎の元気が良く、匍匐茎は直立茎の下になり、群落を上から見ると、1枚目の写真のように直立茎ばかりが目立ちます。
 葉の横皺はほとんど見られません。


 コツボゴケは雌雄異株です。 雄植物には上の写真のような雄花盤ができていました。 雄花盤は苞葉(雄包葉)に囲まれています。


 上は雄植物の直立茎の縦断面を作り、雄花盤の断面を見たものです(反射光観察:深度合成しています)。 この雄花盤を顕微鏡で見た(透過光観察)のが下の写真です。


 雄花盤にはたくさんの造精器が並んでいます。 細長いのは側糸です。


 上は直立茎の葉です。 この倍率では注意して見ないと分かりませんが、葉の葉縁の上半部のみに歯があります。


 上は葉の先端部です。 葉先は鋭頭で、中肋は葉先に届いています。


 上は葉の中ほどの葉縁近くです。 明瞭な舷があり、歯は単細胞です。 葉身細胞は厚壁で厚角です。

(2016.4.3. 岩湧山)

こちらには精子を出し終えたばかりの花のような雄器盤をつけた雄株を載せています。 またこちらこちらには雌株の様子を載せています。