2017-11-03

イトゴケ

 蘚苔類は乾燥させて保存した後でも、水に浸せば、ほぼ生きていた時と同様の姿に戻り、観察することが可能です。 それでも苔類の油滴は時間が経つと消えてしまいますし、蘚類の中には水をつけてもなかなか元の姿に戻らないものもあります。 ですから、採集してきたコケはできるだけ早く調べるのが理想なのですが、次々と調べたいコケが手元にたまると、ついつい後回しになるコケも出てきて、ブログに載せるつもりが、そのうち忘れてしまうコケも出てきます。 今回のイトゴケもそんなコケの1つです。

 イトゴケ Barbella pendulla は既にこのブログに登場していますが(こちら)、今回ブログに載せたかったのは(私にとって)2つの発見があったからです。


 1つは生育していた場所です。 イトゴケはこれまで何度が観察していますが、基物はいつも木の枝でした。 ところが今回みつけたのは、上の写真のように岩の上です。 こんな所でも育つんだと驚きました。


 イトゴケであることを確認するために顕微鏡で細胞を観察したのが上です。 各細胞で2~4個のパピラが一列に並んでいるのが観察できますが・・・


 葉がねじれている所があり、真横から葉を観察することができました。 下は上の赤い四角で囲んだ部分の拡大ですが・・・


 葉を真横から見ることで、パピラが葉の表側にも裏側にも同じように突き出していることが分かりました。 これが2つ目の発見でした。

(2017.9.13. 京都市 西芳寺川)

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