Part1の 2013.8.19.からの引っ越し記事です。(一部書き換えています。)
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昨日このブログでヒメドコロを載せましたが、今日はヒメドコロに似たオニドコロです。
オニドコロは全国に分布します。 なぜ「オニ」なのかは、よく分かりませんが、ヒメドコロやヤマノイモなどに比べると葉が大きくなるからでしょうか。
オニドコロは古くから知られている植物です。 古事記に書かれている「野老蔓(ところづら)」や、万葉集の「冬薯蕷葛(ところつら)」は、オニドコロであるとされています。
「ところ」の語源についてはよく分かりませんが、オニドコロの根茎にはひげ根が多く、いつの頃からかは分かりませんが、これを腰が曲がり髭を蓄えた老人に喩え、海の腰の曲がった老人=海老(エビ)に対比させて、野の老人というとで、「ところ」(=オニドコロ)に「野老」の漢字を充てるようになったようです。 PCで「ところ」で漢字変換すれば「野老」が出てきますし、広辞苑などでも、トコロ(野老)は通常はオニドコロをさす旨の記載があります。
オニドコロつまり野老の根茎は、長寿の象徴として、正月に飾る風習が少し前まで見られたようです。 ただし、オニドコロの根茎は有毒成分を含んでいて、そのままでは食用にはなりません。
このように古くから親しまれてきたオニドコロですが、ヤマノイモ科には、ヒメドコロをはじめ、オニドコロと似たものが何種類かあります。 これまでに何度か書きましたが、葉の形は環境によって変化しやすいものです。 しかし、自生している植物の花の形質は、生殖に関するものですから、そう簡単には変わりません。 以下、オニドコロの花について、ヒメドコロと比較しながら書くことにします。
オニドコロも雌雄異株であるのはヒメドコロと同じで、雌花序の垂れ下がっている様子などもよく似ていますが、ヒメドコロと異なり、雄花序は上方に伸びます(上の写真)。
上はオニドコロの雄花です。 雄花の柄はヒメドコロより短く、オシベはヒメドコロと異なり、寄り集まってはいません。
雌花はほぼ横向きに咲き、子房が生長を始めるにしたがって上を向くようになるのはヒメドコロと同じです。 ただ、1つの花を拡大して見ると・・・
上はオニドコロの雌花です。 退化したオシベはヒメドコロの雌花のオシベに比べると長く、6本の存在が分かります。
オニドコロではヒメドコロのように果実の外側から種子の様子が分かる写真は撮れなかったのですが、オニドコロの種子のひれは一方向にのみ付きます。
(2013.8.18. 堺自然ふれあいの森)
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