2018-08-12

交尾中のナガサキアゲハ


 交尾中のナガサキアゲハ Papilio memnon は前にも載せていますが(こちら)、その時はかなり距離のある樹上でした。 しかし今回は手で触れることのできる距離です。
 上の写真で、上になって枝につかまっているのがメスで、オスはメスにぶら下がっています。 この状態は前回と同じです。
 今回はフラッシュを使いましたので、本来の色は前回の方がよく出ています。 しかし両者を比較することで、鱗粉が光をよく反射すること分かりました。


 今回は翅の裏側も撮る事ができました(上の写真)。 オスの翅の表は黒一色ですが、翅の裏側には赤や白などの色も見られます。 しかし特に翅の表で目立つのは、やはりメスでしょう。
 昆虫では、卵を産むメスの方が目立たず、敵に襲われにくくなる方向に進化してきたのが一般的です。 ナガサキアゲハでメスの方が目立っているのは、毒を持つベニモンアゲハに擬態しているためだと考えられています。
 地球温暖化によるものと思われますが、ナガサキアゲハもベニモンアゲハも分布を北に広げています。 しかし台湾以南に分布していたベニモンアゲハの分布拡大は、まだ奄美群島止まりです。 現在の分布状況下で、鳥たちはナガサキアゲハのメスを有毒であると誤認識できているのでしょうか。

(2018.8.10. 堺自然ふれあいの森)

※ 上とは直接つながりのない話ですが、琉球諸島に分布しているシロオビアゲハが、有毒であるベニモンアゲハの北上に伴って、急速にベニモンアゲハに似てきています。
 このシロオビアゲハとナガサキアゲハは同じ Papilio属で近縁ですが、DNA解読の結果、ベニモンアゲハに似るように進化したしくみが両者では異なり、別々に進化した可能性が高まったようです(2018.4.18.東大などの研究チームが米科学誌サイエンス・アドバンシーズに発表)。 進化のしくみも遺伝子レベルで解明されつつあるようです。

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