2021-02-12

アカツブタケ、ミドリコケビョウタケ

  箕面公園で見た小さなチャワンタケ亜門(子嚢菌類)のきのこ2種です。

● アカツブタケの一種 Nectria sp.


 朽木で育っていました。 ほぼ球形で、径は約100μmです。 頂に口があり、ここから胞子が出るのでしょう。
 子嚢菌には有性生殖による子嚢胞子を形成する「完全世代」と、無性生殖による分生子を形成する「不完全世代」を有するものがありますが、アカツブタケ属も完全世代と不完全世代があり、上は完全世代です。 ちなみに、不完全世代は微小な棒状ということです。

● ミドリコケビョウタケ Mniaecia jungermanniae


 数種の混生している苔類の間に顔を出していましたが、調べたところではアカウロコゴケ Nardia assamica に寄生していました。 子嚢盤の径は約1mmです。
 苔類に寄生するきのこで、海外では ツキヌケゴケ属(Calypogeia)、ヤバネゴケ属(Cephalozia)、コヤバネゴケ属(Cephaloziella)、シロコオイゴケ属(Diplophyllum)、ツボミゴケ属(Jungermannia)、スギバゴケ属(Lepidozia)、タカネイチョウゴケ属(Lophozia)、トサカゴケ属(Lophocolea)等が寄主として記録されているそうです(属名は論文発表時のもの:現在は属が変更されているものもあります)。


 子嚢は棍棒形で薄壁、側糸は糸状で先端は膨れています(上の写真)。 子嚢内では8胞子が一列に並ぶのですが、後には下の写真中央のように部分的に2列になることがよくあります。

 上の写真には未熟な子嚢も写っていて、壁はやや厚くなっています。
 子嚢胞子は卵形ないし楕円形でほぼ無色、薄壁、平滑で、内容は 2μmほどの泡状の油球で満たされています。
※ 上記の内容については「 Discomycetes etc. 」のミドリコケビョウタケのページを参考にさせていただきました。

(2021.2.11. 箕面公園)

2 件のコメント:

外院の杜クラブ さんのコメント...

投稿の仕方がよく分からないのですが書き込みさせていただきます💦
苔・キノコに関わらず、種を調べるとはこういうことなのですね。
詳細な解説、勉強になりました!またご一緒お願いいたします^^

左木山祝一 さんのコメント...

当日はいろいろとお世話になり、ありがとうございました。
コケとキノコの関りもおもしろそうですね。
またご一緒しましょう。