溝のすぐ上の少しオーバーハング気味になっている所にあった上のコケ、カメラを近づけにくい所で、良い写真は撮れません。 クモノスゴケとは少し異なる落ち着いた緑色のようにも思えたので、少し採集して帰りました。
帰宅後に見ると、胞子体を包んだ偽花被がたくさん立ち上がっています。 その基部にある雌包膜は前方へ傾いていません。 雌包膜の先端の様子もクモノスゴケとは異なるようです。 これらのことから、このコケはニセヤハズゴケ Pallavicinia levieri だと思います。 雄包膜の配列を見れば確実なのですが、雌雄異株で、雄株を近くにみつけることはできませんでした。
本種はクモノスゴケより少し暖かい所のもののようで、平凡社の図鑑では千葉県以西の分布となっています。
◎ 上の写真の胞子体が伸びて蒴が開裂した様子をこちらに載せています。
上は葉状体の断面です。 中肋部が明瞭で翼部が広く広がっているのはクモノスゴケ科の特徴です。 ①と②の赤い四角で囲った部分は下に拡大しています。
上は葉状体の断面の①の部分です。 中肋部は急に単細胞層の翼部に移行しています。
上は葉状体の断面の②の部分です。 クモノスゴケ属の中心束は1本です。
上は雌包膜の先端部で、クモノスゴケより細かく分かれ、裂片は長く伸びているように思います。
上は雌包膜の先端付近の細胞です。 油体の様子などは、葉状体よりこちらの方が葉緑体に邪魔されずによく分かります。 油体はブドウ房状です。
(2021.2.1. 箕面国定公園)
◎ ニセヤハズゴケの雄器の様子はこちらに載せています。
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