2021-02-06

カマハコミミゴケ

 

 岩から垂れ下がる写真のコケ、カマハコミミゴケ Lejeunea discreta だと思います。

 葉(背片)の長さは 0.5mmほどです。 分枝は多くありません。

 上は背面から撮っています。 写真中央の茎の葉は離在していますが、下の茎の葉は接在しています。 平凡社の図鑑では、「背片はゆるく重なって(以下略)」となっています。
 葉はやや背面側に丸く凸状になり、腹面側にやや内曲しています。

 上は腹面から腹片に焦点を合わせて撮っています。 腹葉は離在し、長さと幅がほぼ同長で、輪郭は円形、幅は茎径の3倍ほど、長さの 2/5~1/2までV字形に2裂しています。


 腹葉をもう少し拡大してみました(上の2枚の写真)。 腹葉の裂片の先はやや急に狭まっている場合も多く、鈍頭の場合が多いようです。
 シゲリゴケモドキ Lejeunea planiloba は本種に近縁で、とてもよく似ていますが、この腹葉はやや横に広い楕円形で、U字形に切れ込み、切れ込む長さがより短く、裂片は急に狭まることはないとのことです(古木ら,2005:蘚苔類研究9(1),p16-17)。

 上は腹片で、歯牙は1細胞からなっています。 平凡社の図鑑の本種の説明では、「腹片は背片の1/2長以下ないし痕跡的,歯牙のキール側に大きく目だつ細胞がある。」となっており、この特徴は検索表でも重要視されています。 しかし上の写真では分かりにくく、線を入れてみたのが下の写真です。

 たぶん赤い線で示した細胞が「歯牙のキール側の大きな細胞」なのだろうと思いますが、その手前にも細胞があり、ややこしくなっています。 やはり葉を1枚切り離す方が、この特徴をはっきり示すことができそうです。

 上は葉身細胞です。 表面は平滑で、油体は楕円体です。 細胞壁は薄く、所々中間肥厚しています(比較的明瞭な所を赤い楕円で示しました)。

(2021.2.1. 箕面公園)

◎ カマハコミミゴケはこちらにも載せています。

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