ややオーバーハングぎみの石灰岩上に大きな群落を作っていた写真のコケ、平凡社の検索表をたどればホソコゴケモドキ Weisiopsis anomala に落ちます。 平凡社の図鑑では「山地林縁の日陰の土上に生育。」となっていて、岩上であるのが少し心配でしたが、土上に育つ本種も観察することができ(こちら)、それと比較しても間違いなさそうです。
上は乾いた状態で、下は湿った状態です。 湿った状態では葉は葉縁を含めて平坦ですが、乾いた状態では葉は管状になっています。 このことは、上の写真では小さくてよく分かりませんが、湿った状態で葉の横断面を作っていると、乾くと切片がクルッと環状になることでよく分かります。
葉の長さは1~1.5mm、蒴柄の長さは3~5mm、僧帽型の帽は長く、1~1.5mmあります。
葉はへら形で葉先は円鈍、葉基部の大形で薄壁の透明細胞群は中肋に沿ってせり上がり、中部の緑色細胞群と逆U字形の境界をなしています。
上は葉の中肋付近の横断面です。 中肋のステライドは背面側だけにあります。 また、葉身細胞は腹側にマミラ状に膨れています。
上は腹面から見た葉身細胞です。
上は蓋のある蒴と蓋の取れた蒴です。 蒴には縦の条があり、蓋には嘴があります。
蒴を縦断して胞子を出したところ、外側から軸柱もはっきり見えるようになりました(上の写真)。 蒴歯は1列(内蒴歯のみ)16本で、直立しています。
蒴歯の表面には微小なパピラが密生しています(上の写真)。
(2021.2.11. 箕面国定公園)
0 件のコメント:
コメントを投稿