2017-03-18
ツツバナゴケ
上の写真のコケ、胞子体はたくさんあるのですが、胞子体形成に栄養分をすっかり回してしまったのか、植物体(配偶体)はほとんどとろけたような状態でした。 わずかに残っていた円頭の葉の様子からツボミゴケ科と思いつつも、花被が長いのが気になっていたところ、同行の、コケの特に苔類の師匠と仰ぐM氏はヤバネゴケ科のツツバナゴケ Alobiellopsis parvifolia と同定されました。 長い花被はヤバネゴケ科でよく見られます。
上はその長い花被の口部と、そこから伸び出している蒴柄の一部を撮ったものです。 蒴柄は写真から4細胞列が確認できますが、隠れている側も同様でしょうから、蒴柄の外側は8細胞列ということになり、これもヤバネゴケ科でよく見られます。
上はゴミも多いのですが、かろうじて残っていた植物体です。 ヤバネゴケ科の葉は2裂していることが多いのですが、ツツバナゴケの葉は円頭です。
図鑑によると、ツツバナゴケの葉は接在または重なるようですので、上の写真のものは他のコケに覆われて徒長ぎみで、胞子体も作れず、だから形を留めていたのかもしれません。
上の写真では、とても小さな痕跡ぎみの腹葉らしきものも認められます。 保育社の図鑑によると、「(ツツバナゴケの)腹葉は小さく、退化的であるが、時に舌状で、茎の幅と同じぐらいになる。」とあります。
葉身細胞は 40~60μm、ほぼ方形で薄膜、やや柵状に並んでいます。 油体は各細胞に2~3個で、楕円形です。
上は胞子と弾糸です。
(2017.3.8. 滋賀県野洲市妙光寺山山麓)
◎ 上より少し前の胞子体が伸び出していない時期の様子をこちらに、また胞子体をつけずに元気なツツバナゴケの植物体はこちらに載せています。
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