トサカホウオウゴケ Fissidens dubius は雌雄異株ですが、雄株は雌株の上で育つと聞き、雄株を探してみました。
下の写真は上のトサカゴケの赤い四角で囲った部分の拡大です。
上の写真の左右2ヶ所で伸び出した芽のようなもの (以下、左のものをa、右のものをbとします) がありますが、aとbは様子が異なるように思いました。 aは比較的太い茎があり、そこに小さな葉がついています。 bは上の写真では半分腹翼に隠れていますが、茎が目立たず、比較的大きな葉がついていました。
aは伸びると上のような枝になるのだと思います。
bが気になり、分離して顕微鏡で観察したのが上の写真で、6枚ほどの葉がついていました。 もしこれに造精器があれば雄株ということになるのですが、造精器があるかもしれないような所は葉が重なって暗くなり、よく分からないようになってしまっています。 そこでこれを2つに分割してみました。 そのうちの片方が下の写真です。
下は上の写真の赤い四角で囲った部分の拡大で、3枚の写真を深度合成しています。
上の写真の①は、造精器のようにも見えますが、これだけで造精器というには不安があります。 しかし、蘚類の造卵器や造精器は側糸と呼ばれる糸と混生することが多く、②がその側糸だと思います。
以上のことから、2枚目の写真の右側のbは、トサカホウオウゴケの雄株だと思います。 枝分かれする芽のように見えたのは、雄株に育つ胞子がたまたま葉の腹翼に入り込んだためでしょうが、同様のケースを他にも観察することができました。 ポケット状の腹翼は胞子が発芽するのに適した環境を提供しているのかもしれません。
(観察したトサカホウオウゴケは 2017.3.8.に滋賀県野洲市妙光寺山山麓で採集したものです。)
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