2019-12-30

キュウシュウホウオウゴケ



 写真はキュウシュウホウオウゴケ Fissidens closteri ssp. kiushuensis のようです。 上部が閉ざされた林の、適湿状態を維持しているような地上で、 配偶体の下部が原糸体に埋まるように疎生していました。 配偶体はとても小さく、配偶体に比較して大きな胞子体をつけている配偶体の多くは葉が褐色になるなど、かなり弱っているように見えました。 この様子を見ると光合成の主体は原糸体のように感じました。


 上のスケールの最小目盛は 0.1mmです。 配偶体は、茎はほとんど無く、小さな数対の葉がついています。 蒴柄の長さは、上の写真では約2mm、平凡社の図鑑では 1.3~4.0mmとなっています。


 葉は二つ折れになって蒴柄の基部を両側から挟んでいます。


 上は1枚の葉です。 舷は無く、葉縁の細胞に分化は見られません。 中肋は太いのですが葉先には達していません。
 上の写真の葉は基部から中央部にかけて折れ曲がっています。 ホウオウゴケ科の葉は腹翼、上翼、背翼に分けられますが、腹翼と上翼の境が折れ曲がっている所の少し葉先側にあるようですが、はっきりしません。 葉は卵円形の基部から披針形に伸びています。


 上は帽のついた蒴(左)と蒴歯(縮れています)の見えている蒴(右)です。 蒴は直立し、相称です。


 上は蒴歯です。 蒴そのままでは厚すぎるので、蒴の手前は切り落としてあります。


 上は帽です。 平凡社の図鑑には「帽の細胞の上端にパピラがある。」と書かれてあるのですが、焦点を慎重にずらしてみても確認できませんでした。 もっと拡大してみると・・・


 帽では細胞と細胞の境が少し盛り上がっているようです(上の写真)。


 植物体の周囲にある原糸体は宿存性か否か、気になって原糸体を観察したところ、上のように原糸体は短いものばかりで、消える方向に向かっているようでした。

(2019.12.27. 岡山県井原市)

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