樹幹で育っていた写真のコケ、ナガミノゴケ Macromitrium prolongatum のようです。 上の写真では乾いていて葉が巻縮していますが・・・
枝葉は湿るとすぐに上のように開いて反り返ります。 葉先は鋭頭で、ミノゴケのように葉先が腹側に曲がることはありません。 枝葉の長さは2mm前後です。 枝は長く延びるのが特徴で、これが和名の由来でしょう。 学名の種小名も「延長した」という意味です。
蒴柄が短いのも特徴で、2mm前後しかありません。
上は枝葉です。 反り返っている葉をカバーグラスで押さえているので、途中で曲がってしまいました。 葉の中部~上部は密にあるパピラのために光が乱反射され、暗く見えています。
上は葉先です。 中肋は葉先近くに達しています。
葉身細胞は小さく、長さは 4.5~8μmしかありません。 また、密にパピラに覆われているため、葉縁を少し離れると、細胞の輪郭は不明瞭になります。
上は3枚目の写真の、蒴をつけた枝先付近を拡大したものです。 上の写真では蒴柄の基部まで写っています。 3枚目の写真の所に書いたように蒴柄は短く、苞葉は蒴に届いています。
上の写真の中央には帽の取れた蒴が写っています。 この蒴の蒴歯を観察しようとしたのですが、蓋が取れず・・・
上は蓋がついたまま蒴を縦に2分割し、蒴の内側から撮った写真です。 内蒴歯は無く、外蒴歯が8本写っていますので(1本は倒れています)、全体では16本の外蒴歯があることになります。
蒴歯を拡大して撮影しました(上の写真)。 外蒴歯は密にパピラで覆われています。
上は胞子です。 胞子は大きく、平凡社の図鑑では径 20~48μmとなっています。
本種の蒴には気孔があります。 上の写真には4個の気孔が写っています。
(2020.11.26. 奈良県 上北山村)
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