腐木についていた写真のコケ、葉は椀状に膨らみ、やや光沢があります。 蒴は直立し、帽は僧帽状で大きく、蓋には長い嘴があります。
一次茎は長く這い、そこから二次茎が立ち上がっています(上の写真)。
上は二次茎です。 葉は丸くつき、中上部の葉の長さは 1.2~2mmです。
上の2枚は葉を、1枚目は背面から、2枚目は腹面から撮っています。 葉は深く椀状に凹んでいますので、カバーグラスを被せるとしわくちゃになってしまいます。 上は自作のホールスライドグラスを使って深度合成(多焦点合成)した写真です。
葉は卵円形で、葉先は円く、中肋は葉の中部以上に達しています。
上は葉先の拡大で、歯があります。
ここまで、タイトルには書いていますが、種名を出していませんでした。 このコケはハナシエボウシゴケ Dolichomitra cymbifolia var. subintegerrima だと思うのですが、学名から分かるように、本種はトラノオゴケの変種になります。 基本種のトラノオゴケの葉先は円頭~広い鋭頭で不規則な大きな歯があります。
ここで観察しているコケは上のように歯があるのですが、ルーペレベルではなかなか見えない大きさの歯でしょう。 別種でも亜種でもなく変種ですので、タイトルには基本種の名前も( )書きで入れておきます。
なお、ハナシエボウシゴケの和名は、葉先に歯が無く葉形が烏帽子(えぼし)に似ているところからでしょう。
葉身細胞は長楕円形~線形で、長さは 25~35μmです(上の写真)。
上は蒴歯です。 外蒴歯と内蒴歯が揃っているのは分かりますが、内蒴歯は歯突起がほとんど残っておらず、どのくらいの長さがあるのかは不明です。
外蒴歯は小さなたくさんのパピラに覆われています(上の写真)。
(2020.11.26. 奈良県 上北山村)
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