傾きかけた陽を浴びて美しく光るコケ群落、このコケは・・・
蒴は帽にすっぽり包まれていて若く、直立のまま成熟するのか、成熟するにつれて傾くのかも分かりません。 葉は明るい黄緑色で細く、みごとに縮れています。
湿らせても葉は真っ直ぐにはなりにくいようです。 葉の長さは5~7mmです。
葉の細い直立性蘚類も多くあります。 何科のコケなのか分からないまま、葉の観察を続けます。
茎から葉を剥がしてみました(上の写真)。 葉には明瞭な葉鞘部(茎を取り巻いている部分)があり、葉身部は肩から折れ曲がるように強く反っています。
葉先付近には歯があります(上の写真)。
上は葉先から少し下を背面から撮っています。 中肋の所々の細胞にパピラが見られます。
上は肩の部分を斜め上から見ています。 肩は幅広く、葉身細胞の観察も容易だと思い倍率を上げたのが下の写真です(角度は少し変わっています)。
葉身細胞は丸みのある方形~矩形で、パピラなどは見られません。 このような葉身細胞はシッポゴケ科によく見られます。 シッポゴケ科でこのように細長くよく縮れる葉で、まず思いつくのはチヂミバコブゴケですが、それよりもかなり大型です。
チヂミバコブゴケに近縁のものを調べてみると、エゾノコブゴケが上記の観察結果にほぼ一致しそうです。 この種にも蒴の基部にこぶ状の突起があるのですが、蒴は2枚目の写真のように細く完全に帽に覆われている状態です。 そこで・・・
試しに帽をそっと引っ張ってみると、うまく蒴を引き抜くことができました。 こんな細い状態の蒴でも立派なこぶ状の突起がついています(上の写真)。
これで決定、写真のコケはエゾノコブゴケ Onchophorus wahlenbergii でした。
(2020.11.26. 奈良県 上北山村)
◎ エゾノコブゴケはこちらにも載せています。
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