2021-07-12

ショウキラン

 ショウキラン Yoania japonica の花が咲いていました。 和名は鍾馗さんに似ているところからと言われていますが、どこがどう似ているのか、鍾馗さんにも会ったことが無い私にはよく分かりません。
 花を見ればラン科であることが分かりますが、光合成できそうな色の所は全くありません。 年間を通して見ても地上に出るのは花茎のみです。 最近の研究によれば、本種やツチアケビなどは腐朽菌の菌糸を介して枯れ木から栄養分を得ているようです(2020.1.24. 神戸大学大学院理学研究科 研究ニュース)。 つまり枯れ木などの分解者として活躍しているきのこから栄養を奪っている菌従属栄養植物です。
 ちなみに、同じように自ら光合成を行わないギンリョウソウなどは菌根菌に寄生しています。 菌根菌は植物と共生関係にあり、菌根をとおして植物から光合成産物をもらう一方で、根より細い菌糸で効率よく吸収した地中のミネラルを植物に提供しています。 つまり菌根菌は植物と菌根をつくってウィンウィンの関係をめざしていますから、たまたま相手が光合成をサボった植物であっても、菌根を作ること自体は不思議てはありません。 しかし本種などは、本来菌根を作らないはずの腐朽菌と強引に(?)菌根を形成してしまいます。

(2021.7.7. 秋田県 乳頭温泉郷

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