2017-10-05

シロモンノメイガ


 ヨモギの葉にとまっていたシロモンノメイガ Bocchoris inspersalis、ちょうど羽化の時期だったのか、新鮮な個体があちこちにいました(2017.9.23. 槇尾山)。


 上の写真も同じ日に見たシロモンノメイガですが、翅の縁の白斑がありません。 出会う確率はこちらの方が高いように思います。


 上は2枚目と同じ個体を拡大して見ています。 白斑が見えなかったのは、白斑を含む翅の縁が擦り切れていたからだったようです。

◎ シロモンノメイガはこちらにも載せています。


2017-10-04

ベニスズメの幼虫




 上はベニスズメ Deilephila elpenor の幼虫です。 チョウジタデ Ludwigia epilobioides を食べていました。(2017.9.26. 堺自然ふれあいの森) なお、チョウジタデは名前に「タデ」とついていますが、タデ科ではなくアカバナ科です。
 ベニスズメの幼虫の食餌植物としては、アカバナ科以外にも、ホウセンカなどのツリフネソウ科、ミソハギ(ミソハギ科)など、草本を中心にいろんな科の植物を食べているようです。

 ベニスズメの成虫も下に載せておきます。



2017-10-03

モエギコミミゴケ


 茎が長く徒長し垂れ下がっている写真のコケ、M氏に同定していただいた結果はモエギコミミゴケ Lejeunea pallide-virens でした。 なお、モエギコミミゴケは平凡社の図鑑では検索表には載せられていますが、種別の記載はありません。
 写真は群落のほんの一部で、岩上に明るい緑色の大きな群落を形成していました。


 上は背面から撮っています。 背片はゆるく重なり、裏に腹片のある部分が膨れて張り出している葉が多く見られます。 なお、このような特徴は本種によく似たカマハコミミゴケ(以下、「カマハ」と記すことにします)などでも見られますが、これらの姿をM氏は「苔類の貴公子」と表現されています。



 上は腹片です。 この仲間の分類では腹片の形態も重要になりますが、膨れている腹片全体にピントの合った写真を撮ることは不可能です。 そこで、7~8枚の写真を深度合成して、腹片はきっちりと写り、その背後にある背片はぼやけるようにしたのが上の写真です。
 腹片は上のような背片の1/2ほどの大きさのものから、とても小さなものまでありました。 なお、カマハなら、この腹片の歯牙のキール側に大きく目立つ細胞があるはずです。


 上の写真には2つの腹葉が写っています。 上の腹葉は縦より横幅の方が広く、下の腹葉は横幅より縦の長さの方が長いようですが、全体としては後者の方が多いようでした。 また、側縁には赤い矢印で示したような角張った所が見られました。
 腹葉の先端は1/2ほどまでU字型に2裂しているものが多いようです。 ちなみに、カマハの腹葉には角張った所は見られず、切れ込みもV字型に近くなるようです。


 上は葉身細胞で、細胞の表面には弱いベルカ(verruca:パピラよりずっと小さい微小突起)があります。 油体は各細胞に10個前後あり、楕円形で微粒の集合です。 なお、カマハの油体はもう少し小さいようです。

(2017.9.23. 大阪府和泉市 槇尾山)

◎ モエギコミミゴケはこちらこちらにも載せています。


2017-10-02

堺市のコシダと西表島のコシダ

 コシダの葉を理解するために、シダの葉の一般的なつくりを見ておきます。


 上は光田重幸著「検索入門 しだの図鑑」(保育社)に載せられているトウゴクシダの葉の線画です。(赤い色は私がつけました。) 1枚の葉は葉身と葉柄からなり、葉身はたくさんの羽片に分かれています。 つまり上の図には2枚の葉が描かれています。


 上は堺自然ふれあいの森で撮ったコシダ Dicranopteris linearis ですが、コシダは数年かけて毎年1対ずつの羽片を展開していきます。 つまり上の写真は1枚目の赤く塗った部分に相当します。(よく分かるように周囲の葉を画像処理ソフトでぼかしています。) こちらではそのことを葉の展開の様子から見ています。


 上はやはり堺自然ふれあいの森でコシダを横から撮ったもので、これでやはり1対の羽片、つまりコシダの葉の一部です。


 上は沖縄県の西表島で撮ったコシダで(2017.4.19.撮影)、やはり1対の羽片です。 西表島ではここまで大きな羽片になるのかと驚きました。


2017-10-01

アオシノブゴケ


 写真はアオシノブゴケ Thuidium pristocalyx です。 上は生育地で撮ったものですが、濡れているように見えるのが印象的でした。



 分枝はやや不規則です。 上の写真では少し分かりにくいのですが、茎葉は 1.5mmほどの長さです。



 各葉身細胞の中央には大きなパピラが見られます。


 パピラの先はいくつかに分かれています(上の写真)。



 上は茎の毛葉です。 葉を取り去った茎で観察しましたが、上は毛葉の集まっている所を撮ったもので、全体としては毛葉はそんなに多くありませんでした。

(2016.3.13. 奈良県 川上村、2017.10.4.同所で確認・内容一部訂正)

◎ アオシノブゴケはこちらこちらにも載せています。