2016-12-01

ウニヤバネゴケ


 上は木の枝分かれで股になっていて少し窪んでいる所にあったウニヤバネゴケ Cephaloziella spinicaulis です。 後述のようにこの細いひも状のものの幅は 0.15mmほどですので、樹皮の凹凸がとても大きく写っています。
 平凡社の図鑑では、ウニヤバネゴケは「低地の湿った岩や転石上に生育」とあるのですが、撮った場所は下にわずかに水があるような谷の、樹幹の地上高 1.5mほどの所です。 小さなコケであればあるほど、ほんのわずかな場所の違いが大きな生育環境の違いになって、写真のウニヤバネゴケにとっては、写真の場所がたまたま湿った岩の上に似た環境だったのかもしれません。


 もう少し拡大して撮ったのが上ですが、このあたりがカメラ単独での限界です。 以下は顕微鏡下の撮影です。


 上の写真で左右に出ているのが葉ですが、茎も葉もトゲ状の突起が密生しています。 写真の下の目盛は、最小目盛が 10μmですから、上に書いたように、葉を含めた茎の幅は 0.15mmほどです。 なお、平凡社の図鑑では、この幅が 0.1~0.2mmとなっていますから、よく一致しています。


 もう少し拡大して深度合成してみたのが上です。 葉(側葉)と腹葉があるようにも見えますが、よく分かりません。 1本のトゲ状の突起は複数の細胞からなっているようです。
 倍率的にはもっと顕微鏡の倍率を上げることはできるのですが、大きくすればするほど何が何だか分からなくなります。
 ウニヤバネゴケは前にも載せていますが(こちら)、この時はたくさんのコケを急いで整理していましたので、今回はもう少しきちんと撮ろうとしたのですが、あまり変わらない結果になってしまいました・・・。

(2016.11.30. 堺自然ふれあいの森)

こちらでは本種の1枚の葉を茎から外して観察しています。