2016-12-22

トカチスナゴケ


 写真はトカチスナゴケ Racomitrium laetum です。 湿った岩壁に生えていました。 なお、少し混じって生えているのはトゲシバリ Cladia aggregata で、乾燥した場所や過湿な場所(この場合は後者でしょう)に生える地衣類です。


 大きさが直感的に分かるように1円硬貨を使用してみました。


 横から見ると茎は斜上しています。 葉は乾くと上の写真のように茎に密着します。 葉の先の透明尖が分かるように背景を少し暗くしました。


 葉は狭披針形で漸尖しています。


 葉先の透明尖となっている部分がどうしてもうまく表現できないので、偏光顕微鏡を使用し、コンペンセータ(検板)に鋭敏色板(λ=530)を使って撮ってみました(上の写真)。


 葉身細胞は長い矩形で、縦壁は厚くて波打っています。


 上は葉の基部です(2枚の写真を深度合成しています)。 上に書いたように葉身細胞の縦壁は波打っているのですが、基部の葉縁にのみ波打たない平坦な縦壁を持つ細胞が1列に10~15個並んでいます。 トカチスナゴケによく似たクロカワキゴケ Racomitrium heterostichum はこの平坦な縦壁を持つ細胞が3~6個です。

(2016.12.14. 宝塚市最明寺川)

こちらには蒴のあるトカチスナゴケを載せています。