岩上でたくさんの蒴をつけた写真のコケ、平凡社の検索表をたどるとトカチスナゴケ Bucklandiella laeta (学名は平凡社から変更しています)になりました。
新しい葉は光沢の無い緑色で、次第に褐色に近い緑色になっていくようです。 葉の長さは約3mm、蒴柄は6~7mm、蒴の壺は1.5mmほどです。
葉は狭披針形で漸尖し、葉先は透明尖となっています。
透明尖にパピラなどはありません。
葉縁基部には波状に肥厚しない細胞が10個以上1列に並んでいます(上の2枚の写真)。
上は葉の断面です。 少しポコポコしているように見えますが、これはパピラではなく、細胞の境の細胞壁が肥厚した偽乳頭だと解釈しました。
上は蒴です。 帽にしわは無く、蒴柄にパピラはありません。 シモフリゴケ類の多くは蒴歯が長く、例えばエゾスナゴケの蒴歯は壺と同じくらいの長さがあります(こちら)。 それらに比較すれば、本種の蒴歯はシモフリゴケ類の中では短いと言って良いでしょう。
上は蒴を縦に切って胞子を外に出し、蒴の内側から撮っています。 蒴歯は糸状です。
下は上の一部の拡大です。
口環が発達しています。 蒴歯の表面は小さなパピラに覆われています。 蒴歯は不規則に2~3裂しているように見えます。
上は胞子です。
(2021.7.15. 長野県 栂池自然園)
◎ トカチスナゴケはこちらにも載せています。
平凡社のシモフリゴケ属は、現在では5属に分割され、種の整理も進んでいます。 明日はこのことについて書く予定です。
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