2017-10-22

ハタケゴケ


 写真はハタケゴケ Riccia bifruca でしょう。 なお、従来ハタケゴケの学名は Riccia glauca とされてきましたが、この学名のコケの和名はウスバハタケゴケとされています(富永・古木,2014)。
 上の写真で、葉状体(背面)のあちこちがこぶのように盛り上がっています(分かり易い所を赤い円で囲みました)。 これは胞子体が葉状体の内部で大きくなってきているためです。


 上は葉状体の断面です。 特にマークを入れたわけではありませんが、写真の中央左の青っぽくなっている所に造卵器があり、その頸部が葉状体背面から突き出ています。
 ちなみに、この青っぽくなっている所は、カメラ内に入った光が撮像素子の表面で反射し、その反射光がレンズの内側で反射して撮像素子に向かい・・・と、レンズの内側と撮像素子の表面とで光が往復することで周囲よりも明るくなってしまった所で、暗い部分の撮影時にカメラがオートで感度を高めた時によく起こるようです。 写真の中央に出るものですが、トリミングしているために右に寄っています。 普段はゴーストとして困る現象ですが、今回はポインタとして役立ちました v(^-^


 上は造卵器が存在する部分を大きく撮ったものです。 細かい点のある紐状のものは仮根です。 プレパラート作成時に葉状体の断面と重なる位置にきてしまいました。
 このように造卵器は葉状体に埋まった形で存在します。 この造卵器にある卵細胞が受精し、生長して大きくなりだしたのが下の写真です。


 精子の通り道だった造卵器の頸部は役割を終え、縮んで黒褐色になっています。 大きくなりだした部分は胞子体になっていきます。


 上の写真では、葉状体の背面が裂け、その部分から、黒褐色になった成熟した胞子体が見えています。 この成熟したほぼ球形の胞子体の1つを軽く押し潰してプレパラートにしたのが下の写真です。


 胞子体の中にはたくさんの胞子が入っています。 上の写真の網目模様のある褐色の1つ1つが胞子です。 これらのたくさんの胞子を包んでいた胞子体の膜も、うっすらと写っています。


 胞子形成時には減数分裂が起こり、1つの胞子母細胞から4個の胞子が作られます。 球形の胞子母細胞が同じ形の4個に分割されるわけですから、胞子の形は半球と背の低い三角錐を組み合わせたような形になります(こちら)。 この三角錐の頂点は胞子母細胞の中心に位置していたわけですから、この三角錐側を胞子の求心面(proximal surface)、その反対側の半球の表面を遠心面(distal surface)と呼んでいます。
 上の写真(9枚の深度合成)の中央にある4個の胞子に注目すると、左上の胞子は遠心面を、右上の胞子は求心面を真上近くから、下の2個は求心面を斜め横から見ていることになります。
 胞子の表面には、細胞壁が盛り上がった畝によって作られた模様が見られます。 この模様もハタケゴケの仲間の同定には大切なポイントになります。
 ハタケゴケの遠心面には、畝によってつくられた網目が直径上に6~8個あり、畝の交差部は突起を持っています。 求心部の網目ははっきりしていませんが、このこともハタケゴケの特徴の1つです。

(2017.10.15. 宝塚市平井)

0 件のコメント:

コメントを投稿