2018-05-18

ゼニゴケの“銭生産”


  ゼニゴケの名前は江戸時代からあり、当時は銭のような円い植物体の形に由来していて、地衣類のウメノキゴケの仲間なども「ゼニゴケ」であったようです。 しかし次第にゼニゴケ Marchantia polymorpha の和名は、その無性芽が銭(ぜに)に似ているところからだという人が増えてきました。 以下はこの無性芽の“銭”についてです。
 無性芽であるからには、植物体の一部が細胞分裂を繰り返し、肉眼でも見える大きさの銭のような円盤状の無性芽となってから、元の組織から切り離されるはずです。
 無性芽はどのように生長するのか、元組織との接点はどこなのか。 この“銭”の生産場所を探ってみました。


 上は“銭”の入っている杯状体の断面です。 低倍率すぎて光がうまく回らず、組織内部の色もグラデーションになっていますが・・・。
 “銭”は立っていて、円盤状の縁で元の組織とつながっています。 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。


 上の写真では“銭の赤ちゃん”がたくさん見えます。 このようにして無性芽は杯状体の底で次々と作られ、完成した無性芽は下から押されて上へ上へと押し上げられるのでしょう。


 上は完成した無性芽です。 上で、無性芽は円盤状の縁で元の組織とつながっていたことを確認しました。 そのつながっていたところを探すと、ちゃんと確認する事ができます。 赤い円で囲った部分が、その部分です。
 下は1つの無性芽の拡大です。


(2018.4.29. 京都市大原)

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