写真のコケ、旧ツボミゴケの仲間であることはすぐ分かりますが、この仲間のコケはどれもよく似た姿をしていて、種の同定には花被や油体の様子などの観察が必要で、肉眼レベルでの同定は困難です。 ただ、写真のコケは倒木上で育っていて、倒木上に育つこの属のコケは珍しく、ツツソロイゴケ Liochlaena subulata だろうと思います。
なお、上で「旧」ツボミゴケの仲間と書きましたが、従来ツボミゴケ科とされていた多くのコケがこの科から外れています。 ツツソロイゴケも、平凡社の図鑑ではツボミゴケ科のツボミゴケ属( Jungermannia )に分類されていて、科はそのままですが、属はツツソロイゴケ属となっています。
葉身細胞は薄壁で、大きなトリゴンがあります(上の写真)。 油体は少し放置していたこともあって、上の写真でははっきりしません。 しかたなく、油体が残っている斜めになっている葉を見たのが下です(上とは倍率が異なっています)。
油体は球形~楕円体で、微粒の集合です。
上は、胞子体は既になくなっていますが、胞子体をつけることで弱り、茶色くなってしまった雌株です。 下は同じ株を上から花被にピントを合わせて撮っています。
平凡社の図鑑には、「花被は倒卵形,稜がなく,切頭,嘴は長い。」とあります。 どこまでが花被かよく分からないこともあり、「倒卵形」は疑問ですが・・・
(2018.5.30. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)
◎ ツツソロイゴケはこちらにも載せています。
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