2018-07-27

ソリハヤナギゴケ




 写真はヤナギゴケ科のホソコガネハイゴケ Campylium hispidulum var. sommerfeltii のようです。 水に沈んだ腐木上で育っていました。 基本種のヤナギゴケモドキとは翼細胞の形態等で区別されています。
◎ ソリハヤナギゴケに訂正します。 詳細はこの記事の最後の追記をご覧ください。
 蒴柄は植物体に比較して長く、蒴は傾き、非相称です。


 茎は這い、不規則に枝分かれしています。 上は乾いた状態ですが、葉は開出しています。


 枝の幅は、枝についている葉の尖った先までを含めても1mm以下です。


 茎葉は目立たない歯があるか全縁です。 上の写真では2叉する中肋がぼんやり見えますが、ほとんど分からない葉も多くありました。 翼細胞は矩形です。


 葉身細胞は楕円状菱形です。


 ヤナギゴケ科の蒴は、ほぼ等長の外蒴歯と内蒴歯が各16本ずつ揃っています。 上はそのうちの1本の外蒴歯と、その先の部分の拡大です。 外蒴歯の上部にはパピラが、下部には横条が見られます。
 下は内蒴歯です(上とは拡大率が異なります)。 内蒴歯の歯突起は高い基礎膜の上にあり、歯突起の間には関節のある間毛が存在します。


(2018.6.1. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)

------(以下 2018.12.24.追記)--------------------------------------------------
 写真のコケは、当初はヤナギゴケモドキの変種ホソコガネハイゴケ Campylium hispidulum var. sommerfeltii としていましたが、識者よりソリハヤナギゴケ C. squarrosulum ではないかと連絡いただきました。
 平凡社の図鑑では、ソリハヤナギゴケは、種別の解説は無く、検索表にあるのみで、ヤナギゴケモドキの中肋が「ふつう2叉し、葉の1/2以下で終わる」となっているのに対し、ソリハヤナギゴケは「中肋は1本で葉長の2/3に達する」となっています。
 野口図鑑でヤナギゴケモドキとソリハヤナギゴケを比較すると、前者の蒴は上の写真のようにやや傾いているのに対し、後者の蒴は傾きが大きく斜め下を向いています。 また蒴歯の様子も図鑑の図は前者のものに似ています。 中肋については、前者の茎葉の中肋はとても短く2叉していて、枝葉には中肋が描かれていません。 一方、後者の茎葉には長い中肋があり、枝葉にも短い中肋が描かれています。 そこで再度葉を顕鏡してみました。


 上は枯れて茶色くなっていますが、できるだけ太い茎についていた葉を選んで撮ったものです。 他の葉の葉先付近がくっついていますが、中肋は葉の中央部付近にまで達しています。


 上は枝葉です。 数枚の葉を顕鏡しましたが、いずれの葉も不明瞭ですが、上の写真のようにやはり中肋があるようです。

 以上のように、蒴の様子はホソコガネハイゴケを含むヤナギゴケモドキに似ていますし、葉の様子はソリハヤナギゴケに似ているのですが、とりあえず中肋を重視し、ソリハヤナギゴケとしておきます。

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